目次
残留日本兵家族との出会い
残留日本兵家族と私
父たちの歳月
スアンさんと家族の歳月
ロックさんと家族の歳月
ズンさんと家族の歳月
Baちゃんが来た
伝える責任
近づく心の距離
父の国へ
「新しいベトナム人」の時代背景
残留日本人の日本帰国の背景
加茂徳治さんのお墓探し
二つのドキュメンタリー
レ・ティ・サンさんの手記
橘さんの「戦争体験記」と「手記」
橘さんから家族への手紙(一九五四年)
呉連義さんの手記による「ホクタップ」
著者等紹介
小松みゆき[コマツミユキ]
1947年新潟県北魚沼郡堀之内町(現・魚沼市)生まれ。中学卒業後に上京、共立女子短期大学卒。出版社、法律事務所等勤務を経て、1992年にベトナムの首都ハノイに日本語教師として赴任。2008年よりベトナム社会主義共和国国営ラジオ局VOV「ベトナムの声」放送局勤務。現在、シニアアドバイザーをつとめている。ベトナム残留日本兵家族会コーディネーター。2017年外務大臣表彰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
10
「皇后陛下御歌 三首 平成二十九年」のうち「旅」と題する一首。「『父の国』と日本(にっぽん)を語る人ら住む遠きベトナムを訪(おとな)ひ来たり」1945年終戦の時にベトナムに残った日本兵(人)たちがいた。ホー・チ・ミン率いるベトミン(ベトナム独立同盟)の一員としてインドシナ戦争を戦い現地に家族を持ったという。1954年に至り中国と関係を深める北ベトナムから家族帯同を許されず帰国し、妻や子どもたちは残された。日本人の子と差別を受けるなど、時代に翻弄された人々との著者の交流の記録。心揺さぶられる読書、好著。2020/09/27
貧家ピー
9
太平洋戦争後もベトナムに残り、家族も設けるも帰国したベトナム残留日本兵家族を追う記録。 ほとんど説明もなく去った夫や父を数十年に渡り想い続けるベトナム人家族の気持ちに胸を打たれる。 元日本兵たちが、なぜ家族を残して帰国しなければならなかったかという疑問について、ベトナム史研究者たちの解説・当事者の手紙から、中国の存在・冷戦の影響を大きく受けたのであろうと推測でき、納得できた。 元日本兵、残留家族共に歴史の流れに翻弄された被害者と言えるかも。2020/11/05
ぽけっとももんが
7
過日読んだ「ベトナムの風に吹かれて」は認知症のご母堂を自分が住むベトナムに呼び寄せた顛末だった。大変そうではあったものの、敬老精神が根付いている彼の国での二人暮らしは興味深いものだった。その中で小松氏が奔走していたのがこの、ベトナム在留日本兵とその家族の問題。これだけの活動をしながら母親の介護をしたり、もちろん生計を立てるための仕事もあるだろう。読みやすいわけではないので、先に「ベトナムの風に吹かれて」を読んでおいてよかった、と思ったけど考えてみればあれを読まなかったらこちらを知ることもなかったんでした。2020/12/09
博多のマコちん
7
素晴らしい一冊。著者の小松みゆきさんのアクティブな活動に圧倒されて、すぐには感想を記すことができませんでした。前著「ベトナムの風に吹かれて」も小松さんへの声援を送りたくなる印象強いものでしたが、本著は少し年上の小松さんの若い頃を含めた人生に、同時代を生きた者として大いなる敬意を抱きました。2年前、現上皇ご夫妻が訪越時に「残留日本兵家族」と面談されたことはマスコミで大きく報じられて関心を持ちましたが、それを実現させた当事者が小松さんであり、彼女の長年の活動があったればこそだったのです。2020/08/24
ちゃーびん
5
★★★★☆