出版社内容情報
人間と二つの蛇── 一つはあのヘビ、もう一つは人間を呑みこんでしまう「寺」というヘビ── のすさまじい闘いを描いた、まさに異色作。仏教王国タイでこのような、僧侶批判、寺批判の物語を書いた著者の勇気には敬服させられます。『タイ仏教入門』とあわせて読めば、タイ仏教の構造と現実がかなり見えてきます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みか
1
2015年11月7日読書会課題本。主人公と老母の貧しい生活が描かれている。老母は、自分たちは薄い粥しか食べられないのに、托鉢に来た僧侶には白米と卵など、一番良いものを出す。どんなに生活費が圧迫されても、寺に寄進する。すべては功徳を積みたいため。現在の苦しい貧困状態は、前世で殺人や盗み、放火など何か罪を犯したからだ、と考えることは、とても閉塞感があると思った。現在の貧しさからなんとか脱出したいがために、身の丈を超えた寺や僧侶への寄進・奉仕をし続けて、ますます貧困となる様子は、読んでいて本当に辛かった。2015/11/07
junne
1
タイのプロレタリア文学。なかなかに救いのない……2015/09/29