出版社内容情報
マニラに働きに出た恋人が消えた。青年は一人大都会をさまよう。スラムに必死に生きる若者たちの怒り、血と汗がにおうようなタガログ文学の傑作です。リノ・ブロッカが映画化して、すごい評判を呼びました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Jessica
1
60年代、タガログ語文学の先駆け。 田舎から都会に出てきた青年、彼を取り巻く貧困層の人々の生活苦を嫌と言うほど綴っている。 あの国特有の暑さ、汚さ、筆者特有の卑屈さと淡々とした描写。当時現地でもベストセラー、映画化されるほどだったそう。 2022/07/23
悠里
0
フィリピンの田舎の若者が、恋人を探すために向かった都市部で搾取される現実を描いた話です。 一見、貧困を描いたベタな小説だと思って読みましたが、解説を読んでみるとフィリピン人特有の思考様式が随所に織り込まれている。 とくにアモック(英 タガログでフラメンタード)という捨て鉢になるある種の自殺が、圧倒的な外国からの圧力に晒され続けたフィリピン人の抵抗の形としてあり、それが今日にもある意味受容された反応として残っていることを学べました。2017/06/25
イワシ
0
「陽気すぎたんだよ、あいつ。いつも歌っているかそうでなきゃ口笛だろう。あの野郎、なに一つ悪いことのできるやつじゃねえがよ、たった一つの罪といやあ、こんなひどい所で、ちっとばかし陽気すぎたってことさ」2020/06/18