内容説明
深い思索と体験の旅を重ね、人生の足跡として記された珠玉の短歌の数々―。それらの歌にまつわる様々な想いと、数々の出会いの余韻を綴る旅歌随想集。旅先での出会いを契機に長年筆者との親交の続く画家・渡辺淳氏の精神性溢れる挿絵が、一連の作品に一層の深みと彩りを添えている。
目次
かなしみも灯る命のあればとて夕冴えわたる能登の海うみ
瞬間を永久へと変ゆる魔術もて時を羽ばたく若き二人よ
しんしんと心の闇に降る雪を遍く照らす徽軫燈篭
月の船生駒に落つる日を追ひて渡る大和に大寺の鐘
太古より時の骸の積もりたるこの砂山に消ゆる足跡
翁独り多摩の河原に冬を釣る嵐雪の皺なほ足らぬごと
大悟なき身にも刹那の春ありて慈恩の庭に光る静けさ
爽やかに夏を孕んで吹く風の光る緑を目を閉じて聴く
生まれ来し証は青き一条の光の糸と蛍飛ぶ夜
青潮の慕いをのせて湧く霧にひとり気高く礼文うすゆき〔ほか〕
著者等紹介
本田成親[ホンダシゲチカ]
1942年、横浜に生まれ鹿児島で育つ。大学での研究生活を経て文筆家となる。1997年「佐分利谷の奇遇」で第2回奥の細道文学賞受賞。評論、紀行、随筆、詩、短歌、ノンフィクション、小説とその仕事の範囲は多岐にわたり、執筆対象領域も数理科学分野から文芸・文学分野にまで及ぶ
渡辺淳[ワタナベスナオ]
1931年生まれ。画家。福井県大飯町で育ち、炭焼きや郵便配達の仕事のかたわら創作活動に勤しむ。1967年「炭窯と蛾」で日展初入選、その後も入選を重ねる。長年親交のあった同郷の作家、水上勉氏の信頼は厚く、装丁や挿画を手掛けた水上文学作品の数は70冊以上に及ぶ。若狭の自然をモチーフにした数々の作品は人々の郷愁を深く誘い、その謙虚な人柄のゆえもあって、「野の詩人」とも「声なきものの声を聴くことのできる画家」とも謳われている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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