内容説明
昭和劇文壇に重きをなし、自然主義小説家として正宗白鳥と並び称された真山青果は、作品以外には自分を語らなかった。彼は常に矛盾撞着に悩みつづけ、そのこころを劇中に託し求めた人であった。青果劇の真髄は、人間の深層心理を追求した「人間史劇」のおもしろさにある。
目次
青果劇の特色(詳細な世相描写;深刻な心理描写;雄渾、緊密、格調のある台詞;史実に忠実なト書)
青果の人間史劇(愛憎一如の友情―「玄朴と長英」;理解されないなげき―「平将門」;二人富岡―「富岡先生」;勝者と敗者―「江戸城総攻」;自分を失った男―「大塩平八郎」;二人白浪―「鼠小僧次郎吉」;本性裁判―「名君行状記」;罪と芸―「桃中軒雲右衛門」;政治のからくり―「償金四十万弗」;先駆者の孤独―「坂本龍馬」 ほか)
芸術それからそれ(青果の演劇排斥論;罪ほろぼしから生れたもの)