内容説明
美璃は大家の令嬢として、はた目にもうらやまれる淑女となった。結婚後も二人の天才児に恵まれ、主人も申し分のない紳士であった。彼女の結婚生活には一点の非の打ち所もなかった。しかし、主人には長年にわたる病があった。この病には厳しい食養生が不可欠であり、当人はある食べ物をいっさい口にしなかったのである。しかし美璃には、その認識が欠けていた。彼女の失策が因で、夫は夭逝してしまった。その後、数年して亡夫の霊が妻の行状に己の命を縮めたものがあったことに感づき、その怨霊が彼女のいっさいの人格を奪い取ったのである。ある特定される日時に、彼女は精神に激しい動揺を覚え、次の瞬間、自らの良識、人間性を失ってしまった。倫理道徳、婦徳、人情などのすべてを喪失し、娼婦さながらの女に堕してしまったのである。彼女は二十年の間に複数の悪質の性病に罹患し、このために死んだ。最も惨たらしい姿をさらけ出して…。
著者等紹介
内海寧波[ウツミネイハ]
本名、田中正躬。1931年明石市東二見に生まれる。1938年広島県大長小学校入学。1952年京都大学農学部入学。1958年京都大学医学部卒業。1961年京都大学文部教官助手。1962年日本専売公社京都病院泌尿器科医員。1965年京都大学医学博士。京都大学医学部非常勤講師。専売京都病院泌尿器科副医長。1966年京都市桂に泌尿皮膚科医院を開設。1982年宇治市に分院を開設。セックソローギスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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