内容説明
冒頭の「古代中国から近代西洋へ」は平川氏と竹山氏共著の「日本の西洋への傾斜」と題する『ケンブリッジ日本史』の一節。江戸時代中期の蘭学、書物に始まり、英学への転換、西洋への渡航、お雇い外国人、西洋風法制度の整備、西洋文学作品の翻訳などを経て、欧化熱への批判、「教育勅語」により終る西洋化の時代を描く。平川氏の「開化の舞踏会」は日口の欧化熱を比較文明史的に追究し、「西洋への傾斜」を補足する。竹山氏の「陸海軍中央機関の制度変遷」は陸軍省、海軍省など旧軍の中央諸機関の設置から廃止までの各過程を詳細かつ実証的に辿った雄篇である。
目次
古代中国から近代西洋へ―明治日本における文明モデルの転換(西洋近代文明との出会い―書物を媒介とする外国認識;幕末維新の渡航者たち―「実験」へ;お雇い外国人―「藝術」の師たち;外来思想・制度の日本的変容―「道徳」の相克;西洋文学翻訳の嚆矢―資本主義の精神;日本への回帰―青年期国民の自意識)
開化の舞踏会(野蛮から文明へ;西欧化の社交界)
陸海軍中央機関の制度変遷(兵部省時代まで;陸軍省;参謀本部;教育総監部;海軍省;軍令部)
補遺 憲政本党内訌時代の犬養毅と乙黒直方―犬養の乙黒宛書簡と『峡中日報』の記事から(『峡中名士伝』と犬養・乙黒の為人;明治四一年第一〇回衆議院議員総選挙の中で;憲政本党の内訌と『峡中日報』の立場;改革派・非改革派の和解と『峡中日報』の報道)
著者等紹介
平川祐弘[ヒラカワスケヒロ]
1931年東京に生まれる。1953年東京大学教養学部教養学科卒業。仏伊給費留学生。1964年東大大学院比較文学比較文化課程担当助手。1969年東大助教授。1992年東大定年退官、名誉教授。著書に『ラフカディオ・ハーン―植民地化・キリスト教化・文明開化』(ミネルヴァ書房、和辻賞)など
竹山護夫[タケヤマモリオ]
1943年東京に生まれる。1965年京都大学文学部史学科卒業。1967年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1970年同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。同年山梨大学教育学部講師。1975年同大学教育学部助教授。1987年同大学教育学部教授。同年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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