内容説明
日本古代史研究にとって、唐令の復原と日・唐律令の比較研究とは、欠くことのできない課題である。著者は、医疾令を中心に、実証的にこの課題に取り組み、覚醒すべき成果を上げている。本書は、この医疾令を中心とする唐令の復原と日・唐律令の比較研究をはじめ、正倉院文書、木簡・漆紙文書などを駆使して、日本古代の医療・医薬制度を追究し、さらに屠蘇の習俗、日・唐の年中行事、節日・休暇、地方教育上の教科書までを究明している。
目次
第1章 日唐医疾令の復原と比較
第2章 天皇の薬(合和御薬条)
第3章 医針生の教科書(医針生受業条)
第4章 年料雑薬の貢進と官人の薬(諸国輸薬条・五位以上病患条)―藤原宮出土の薬物木簡
第5章 写経生の病気と治療―請暇解・不参解と薬物請求文書
第6章 天平宝字2年の詔と酒と「薬」
第7章 供御薬儀の成立―屠蘇を飲む習俗
第8章 仮寧令と節日―律令官人の休暇
終章 『医心方』の世界へ―天平9年の典薬寮勘文と太政官符
付論(唐と日本の年中行事;日本古代の地方教育と教科書)