内容説明
イベントコンパニオンをしていた長島千恵さんは23歳だった2005年の秋、左胸にしこりがあるのを発見、乳がんとの診断をうけた。ちょうどそのころ赤須太郎さんから交際を申し込まれ、悩みに悩んだが「一緒にがんと闘おう」という言葉に動かされ、交際がスタートした。しかし、がんの進行は止まらず、翌年7月に乳房切除の手術をせざるをえなくなる。それでも治ると信じ、SEの資格を取り再就職し、次第に病気のことは忘れていった。ところが、2007年3月、激しい咳と鋭い胸の痛みに襲われ、主治医の元に。胸膜、肺、骨にがんが転移していたのが判明。そんな千恵さんのある願いを叶えようと、太郎さんと友人たちは…。最後まで人を愛し、人に愛され、人を支え、人に支えられた24年の人生を生き抜いた長島千恵さんからのラスト・メッセージ。
目次
4月4日
国立がんセンター
発覚
太郎と千恵
告白
闘病開始
抗がん剤
乳房切除
父と母と
母の死
再発
ごめんね
再入院
月単位
予後週単位
迷い
闘病記
インタビュー
密やかな願い
結婚式前日
4月5日
花嫁の覚悟
結婚式
4月10日
モルヒネ
風
最後の写真
4月13日
悪化
悲嘆
4月27日
別れ
告別式
絆
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃんみー
61
うちの家内云く、『あんたは奥さんや家族を亡くしてしまう本を読むことが多いけど、そんなに私を殺したいのか!』と。全くもって逆なんですけど。家族が大事で愛おしいと思ってるからこそ、このような本を読んでるんですけどね。(ここまで余談です)この本の主人公、千恵さんはたった24歳という若さでこの世を去りました。若い子の死はとても悲しいものです。(当然ながら泣いた)死んでしまう事を考えれば、この世のどんな苦難にもぶつかっていける。そんな気が致します。まずは嫁さん孝行しようかと。2014/04/07
まさきち
57
失敗しました、電車の中で読んでしまいました。それにしても最後までやさしく、そして強く支えてくれる父、叔母、さらに多くの友人や彼らの努力に力を添えてくれる人々など本当に素晴らしい人々に囲まれてうらやましい限りでした。でもそんな彼らを引き寄せてきたのはひとえに千恵さんの前向きで努力を惜しまない魅力的な人柄があってこそなのかなと思います。だからこそ若くして亡くなってしまったのは本当に残念です。読んでよかったと心の底から思える一冊です。2015/09/02
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
19
TBS「イブニング5」で放映されたドキュメンタリーを書籍化したもの。ガンが再発し、月単位から週単位の予後へ。それは決していい方向への話ではなく、それだけの余命しかないということ。少し前まではそんな予兆すらなかったのに、いつの間にかそれだけの時間しか残されていない。改めてガンの進行の速さにゾッとさせられました。限りある時間なら少しでも好きなことをさせてあげたい。大切な人のことを想えば想うほどその気持ちは強いものだと思います。それだけに余命を告げるかどうかの葛藤は読んでいて辛かった。★★★★2010/09/23
しんchan
14
古本屋で80円ちょっとで買ったこの本を、暑くて眠れない夜に読み始めたところ、こみ上げる涙を抑えきれないまま朝を迎えてしまった・・・。 今までの自分の生き方がなんだか恥ずかしい・・これから毎日しっかり頑張って生きていこう!っと誓った朝でした。2016/08/17
あかり
11
読んだ気になっていた本の一冊。『はなちゃんのみそ汁』を読んだ時にも感じたことだが、幸せの絶頂にある時ほど悲劇の影は大きい。癌という病は、自分や本当に身近な家族が罹患して初めて「死」を意識する病のひとつだろう。まだ23歳…乳房温存に悩むのは女性なら当然だし、文字通り懸命に病と向き合う彼女と周囲の人々の想いに胸が熱くなった(結局泣いた)。日々の何気ないことが幸せと思える今と健康、そして家族に感謝。2017/05/09