内容説明
約27年にわたり劇団四季に在籍し、退団後も浅利慶太と劇団四季を見つめ続けてきた著者が、追悼の念を込めて上梓。劇団創立、華麗にして重厚なる人脈、転機となる数々の作品、四季節「母音法」…etc.。欠くことができないキーワードに導かれ、人間・浅利慶太に迫る始まりの一冊。
目次
わが心高原に―加藤道夫との出会い
劇団四季創立と加藤道夫の死
演劇の回復のために―新劇を創った人々へ
天才金森馨との邂逅
日生劇場と華麗にして重厚なる人脈
日生劇場の始動と試練
決断の時
『なよたけ』への想い
「母音法」―四季節の完成
『キャッツ』―夭逝せる同志への慰謝
ミラノ・スカラ座の熱狂―オペラ『蝶々夫人』演出
「第二国立劇場(仮称)」建設の功労者として
『ミュージカル李香蘭』―真実を見つめて
著者等紹介
梅津齊[ウメツヒトシ]
1936年北海道稚内市生まれ。樺太泊居町にて終戦。北海道学芸大学卒。熊本大学大学院日本文学研究科修士課程修了。1962年、劇団四季入団、演出部。浅利慶太氏に師事。1970~1989年北海道四季責任者として劇団四季公演及び『越路吹雪リサイタル』北海道公演を担当。1985年、札幌市教委、札幌市教育文化財団の共同事業として、演劇研究所「教文演劇セミナー」(夜間二年制)を設立、指導。2005~2010年、熊本学園大学非常勤講師。1994年以降、熊本壺渓塾学園非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
51
浅利慶太=独裁者・政商、劇団四季=ミュージカルという先入観すら持っていたが、この本で初めて、浅利氏の芸術家の才能と強い魂を知ることができた。自然主義リアリズムに陥った当時の新劇を鋭く批判する若き日の論文の激しさや、ミュージカルで成功してもアヌイやジロドゥなどのストレートプレイに拘り続ける姿勢に、この人の信念を見る。日生劇場、二国など、反浅利勢力からの追い落としに直面するという意味で、確かに毀誉褒貶相半ばする存在ではあったろうが、愛弟子である著者がここに描く浅利氏の姿は、演劇改革に生涯を捧げた求道者である。2020/06/30
スコットレック
2
浅利慶太という演劇界、そして日本という国にとってあまりにも大きな人物の人生を追うだけでなく本書は色々な面で考えさせられ、そして楽しませてくれた。本書で"自裁"という言葉がある事を知った(自殺の事)。他にもメセナ、大デチン等、聞きなれない言葉が出てくるのでそれを調べながら読むのが楽しい。田中角栄、佐藤栄作(訛りを直すための家庭教師!)とのエピソードも興味深い。本業の演劇だけでも苦難の連続なのに、それにまつわる周囲の横槍も数多い。それを跳ね除けるための浅利さんの戦い方、そして信念から学べるものがあるはず!2023/11/14
ウッシー
0
やっぱり凄い人でした。2020/04/28