内容説明
世界でいちばん短い恋愛小説。谷川俊太郎の詩に、『天国の本屋』の田中渉の絵。
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年生まれ。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』でデビュー。1975年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞受賞。1988年『はだか』で野間児童文芸賞、『いちねんせい』で小学館文学賞受賞。1992年『女に』で丸山豊記念現代詩賞受賞。1993年『世間知ラズ』で萩原朔太郎賞受賞
田中渉[タナカワタル]
1967年生まれ
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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❁かな❁
188
とても素敵な世界一短い恋愛小説*谷川俊太郎さんの詩に『天国の本屋』の田中渉さんの絵で紡がれる切なく美しい世界。たった24行の詩ですがとても胸に沁み、涙してしまいました。島本理生さんの『君が降る日』収録の「野ばら」で引用されていたので全文読みたくて手に取りました。24行で切なく儚い想いが語られていて素敵。何度も繰り返し読みました。短いシンプルな言葉で出会いから全て描かれていき、濃密な時間や彼女への想いも伝わりとても切ないです。『ほんとうに出会った者に別れはこない』深いですね。大好きな作品になりました。2015/10/14
しいたけ
102
「あなたとの思い出が私を生かす」そんな深いつながりなのに、恋人でも夫婦でもない。人との出会いに名前をつける必要はないのだと気づいたとき、私はなぜか透明になる。心は自由に人を愛する。誰も罪を持たない。ただ、あなたがそこにいる。5メートル先で私を見つめている。「ほんとうに出会った者に別れはこない」2017/04/28
寛生
54
【図書館】「ほんとうに出会った者に別れはこない」という一行に思いを馳せるのは、まだ来ない未来から訪れる誰かとのほんとうの出会いを待っているからかなあ?このほんとうの出会いは〈カゾク〉の枠を越えた時空で可能なのだろうか?ふと寂聴を想う。儚いといえばそれまでだが、それが人間の命であり、愛であり、出会いなのだろう。しかし、このほんとうに出会うことにより、そこに何か儚いからこそ永遠に消えない愛が刻まれていくのだろうか。人間は死ぬからこそ、その儚い命は永遠性のようなものになって、そこにあり続けるのだろうか。2014/12/16
アコ
27
【購入】『ほんとうに出会った者に別れはこない』という言葉は小学生のころ親友に教わった。(ただ少し間違って教わりそのまま記憶をしていた。)その日からこの言葉はいつもわたしのそばにあった。恋人のみならず学校や職場での老若男女問わず好きなひととの別れに際して。だから活字でそばに置きたかったし、こうして活字で味わって少し泣いた。全文で読むと想像と異なる世界観だったことに驚いたものの、この言葉はいつもいつまでもわたしのなかに永遠にあると確信している。『ほんとうに出会った者に別れはこない あなたはまだそこにいる』。2013/08/26
風花
22
いまはもう、二度と会えないとわかっていても、なくなることなどきっとない。思い出なんていう心もとない何かではなく、顔も声も、匂いさえもここにある。これを愛といわず、何というのだろう。2017/03/31