内容説明
心の奥底にある時の記憶。それは美しさだけを残して息をひそめていた。岸田今日子がその扉をたたく魅惑の短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカギ
27
写真が先か小説が先か。かつて雑誌に連載していた作品たちがメインのようなので、普通に考えたら写真からイメージする話を書いたのだろうと思うけど、それができる女優さんて普通じゃないですよね。何でもできるかただったんだなー。アンティークの小物をめぐる話がいくつかあり、大変ときめく。初期の作品に比べるとダークさは減っていると思うけど、それでも不意にのぞく闇がたまらん。2019/11/16
ミッチ
8
こんなにも哀切を極めた物語をたった見開きで何作も…やはり岸田今日子はスゴイ!2019/06/25
オズ
4
北欧もしくはロシアのような香りがする不条理な短編集。全てがダークファンタジーで官能的でした。広場で恋人たちの密会を見ていた、石像のキリストが白い花をこっそり隠すお話が美しくも残酷!大女優 岸田今日子さん、かなりキレてます(アングラ的に良い意味で)2014/03/10
そら
3
短いお話が、写真と共に詰まっている本でした。『初恋』『たからもの』『約束』『水に浮く女』『倉庫』が好きです。オフィーリアは新しく知りました。未々知らないことがいっぱいあるのだなと思うと楽しみです。2014/05/21
つんこ
2
岸田今日子さんの作品の展開、おわりはいつも突然かつ鮮烈。いいとか悪いとか、許される許されないを飛び越えて。その一瞬の真実が切り取られて、ずっと光りながら尾を引く。1篇1篇は3頁くらいで読めて、テーマになっているものの写真が入るのであっという間に読めてしまいます。岸田さん、つらい恋、だけどいい恋をなさったんだろうな。2017/01/07