内容説明
地獄・妖怪・呪い・奇縁~菱川師宣・豪商淀屋・かぶき者。百物語怪談会のはじまり、はじまり…。元禄の人々が熱狂した事件や出来事・有名人のゴシップなどなど、忠臣蔵だけじゃない!小泉八雲・江戸川乱歩の愛読書。中国怪異小説と江戸の事件が融合。語注・あらすじ・解説・典拠の書き下し文付きで、二つの怪談が同時に味わえる。
目次
剪刀師竜宮に入る
貉の祟り
石塚の盗人
灯火の女
宮津の妖
岡崎村の相撲
宿世の縁
淀屋の屏風
亀嶋七郎が奇病
桶町の譲の井〔ほか〕
著者等紹介
藤川雅恵[フジカワマサエ]
1972年生まれ。青山学院大学、同女子短期大学、学習院大学などで非常勤講師を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
53
元禄時代に書かれた36篇の怪談集。その多くは、元は中国の怪談を、当時著名だった大坂の淀屋や饅頭屋の塩瀬、憧れの名所旧跡などに舞台を変えて日本風にアレンジしたものだという。五道の冥官の月見と行き会う「五官の冥官」、鬼が登場する「桶町の譲の井」「花形の鏡」がかなり怖い。怪談とは異界との交流の話ともいえるが、絵の中の世界に入ってその絵を修正するという「淀屋の屏風」は、不思議な妖しさを持ち、面白かった。「宿世の縁」は、小泉八雲が好んだ話で、自分の怪談集に「弁天様の情け」として紹介している。2017/10/11