内容説明
スマホに熱中する国民…漢字の読めない政治家…“知の時代”が終わろうとしている。科学と経済に支配され、人間の退化が始まった。いま問われる「正しく絶望する力」とは?そして「文学の力」とは?
目次
序章 見え始めた終末
第1章 「自然」と生きる―古典文学に学ぶこと
第2章 壊れゆく景観
第3章 “文学”から“近代”を問う
第4章 エッセイ雑纂
終章 文学が描く未来社会
著者等紹介
川村晃生[カワムラテルオ]
1946年、山梨県生。市民活動家。慶応義塾大学名誉教授。日本文学の研究をベースに、環境問題に関心を持って以来、人文学から環境へのアプローチを模索。環境人文学を構想中。市民活動として、道路、原発、リニア、安保法制などの運動に関わっている。「ストップ・リニア!訴訟」原告団長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウンテンゴリラ
4
初めて読む作家の著書であったが、全般的な内容には大いに共感するところがあった。近代以降の人工物による利便性、効率性を追求する社会から、自然をより身近に、さらにはそれとの一体感を持って営む生活への転換の必要性を説いたものと大枠で理解した。私自身、最近比較的数多く読んだ、近代批判、資本主義批判の系列に類同されると感じたが、解説や評論というよりも、文学的エッセイという色合いを感じ、その分、論調も一方的かつ憤りに似た激しささえ感じられた。それはちょうど、以前、石牟礼道子の「苦海浄土」を読んだときの、→(2) 2017/08/23
マウンテンゴリラ
2
再読本であるが、ここに書かれていることの逐一を予言めいたもの、つまり運命的、不可抗力的なものととらえるのではなく、少なくとも自分自身がその舞台の観客ではなく、役者の一人と捉えなおす必要があるということをあらためて感じた。少なくともそう考えたときに、本書に関連する具体例でいうと、利便性、話題性以外に、私自身にとってリニヤモーターカーを求める理由は何もない。その程度のメリットでしかないならば、建設の必要など全くないと思える。それは、自分勝手な考えであることは百も承知であるが、→(2)2018/07/29