内容説明
日本の文学・宗教文化が生み出す豊潤な世界。神楽・祭祀儀礼・修験など多角的な視野で和歌の根源を探り既成の文学史からの開放を試みる。和歌研究の可能性を拓く知の結集。
目次
『聖なる声』の誕生
第1章 和歌にひそむ力(言葉の力―中世釈教歌の意味論;和歌はなぜ“声”なのか―『古今和歌集』仮名序から;和歌は“公共圏”を生み出す―室町期武家の和歌詠作から)
第2章 うたわれる場(法会と歌詠―源経信から藤原俊成へ;歌合の“声”―読み上げ、詠じもしたる)
第3章 荘厳する和歌(古今伝受の室内―君臣和楽の象徴空間;神へ向かう歌―神楽・今様;歌う聖―聖人の詠歌の系譜)
第4章 詠むという営み(明恵―菩提への道;寂然―浄土を観る)
感想・レビュー
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miyuki
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4月26日より。和歌を《声に出すもの》という観点から論じている13の論文集。歌会などにおいて和歌が声に出して詠み上げられたのは何故か、を軸に仏教神楽今様等から平安末期と中世を中心に論じられている。声に出すということは古代の神事につながることから、宗教の側面をかなりひきずった論文集ではあるそれが斬新でおもしろかった。一応章ごとにコラムみたいに「♪間奏曲 (何々)」という論考が載っけられてはいるが、全然コラムじゃなくて普通に論文として内容が濃いので息抜きにはならない。なんていうか、おもしろい本です。2015/04/28