出版社内容情報
「「私は誰かのことを崇拝したことなどありません。自分以外は」
『サロメ』『幸福な王子』『ドリアン・グレイの肖像』など、
数々の著作と名句で知られるオスカー・ワイルド。
本書は、ビアズリー、ロートレック、風刺画家マックス・ビアボームが
描いたワイルドのスケッチなど豊富な図版と共に、作家本人と
彼をとりまく人々の言葉を通して、唯美主義者オスカー・ワイルドの
生涯をたどるビジュアル伝記である。
イラストレーターのチャールズ・リケッツとの舞台の仕事、
作家アンドレ・ジッドとの友情や画家ホイッスラーとの確執……
分野を越境するワイルドの交流は、彼が生きた世紀末芸術の世界をも
立体的に浮かび上がらせる。
恋人ボウジーの父・クイーンズベリー侯爵を筆頭とする
“保守的なイギリス社会”との戦いや、猥褻罪による逮捕と
同性愛裁判後の日々の克明な記録も必読。
世紀末に常識と偽善を鋭く突いたワイルドが語り、書いた
彼自身の物語は今もなお、鳴り響いている。
【川本直さん(小説家・文芸評論家)推薦文】
世紀末芸術の異端児オスカー・ワイルドの美と反逆に彩られた生涯をたどる絢爛たる絵巻。この豪奢な書物はワイルドの愛読者必携であり、ワイルド入門としても最良の書である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
147
オスカーワイルドの名前は知っていましたが、作品や人となりは知りませんでした。オックスフォード大学を首席で卒業する程の頭の良さ、過激な芸術性、何時か作品を読んでみたいと思います。 https://www.maar.com/shop/art/art-art/isbn97848373069622023/11/09
パトラッシュ
105
ワイルドの伝記的事実は知っていた話が多いが、本書の面白いのは関連する手紙や絵画、写真を集積していること。一世を風靡した有名作家からスキャンダルにまみれた囚人にまで転落しただけに、平凡な小市民には想像もできない人生が見えてくる。尖った服装や発言を皮肉る風刺画に作品の装幀やイラスト、彼を破滅させた有名な侮辱の手紙から『獄中記』の生原稿まで、疾走した生涯を彩った数々の証を見ていると胸に迫るものがある。愚かな生活無能力者の記録と言えなくもないが、やりたい放題の果てに花火で爆発したような生き様はいっそ見事なのかも。2024/02/17
tosca
31
オスカー・ワイルドの作品をそんなに読んだ訳でもないのに「唯美主義者」「同性愛」「デカダンス」…そんな感じにうっとりしてしまいとても気になる人物。なのに裕福な家庭に生まれオクスフォード大学で優秀な成績を修め時代の寵児となり、同性愛の罪で2年間を獄中で暮しフランスで亡くなった、そんな波乱に満ちた彼の生涯の詳しくを始めて読んだ。写真や風刺画も多くあり、当時の英国の雰囲気も分かる。翻訳の問題か主語が曖昧な箇所が結構あり若干の読みづらさは感じたが、ワイルドの生き方がよくわかった。生まれてくるのが150年以上早かった2023/12/12
m
5
要領を得ず読みにくかったが絵や写真が多いおかげでなんとか読了。人気絶頂かはともかくそこそこ有名になってから逮捕・収監されその後再び立ち上がることはなかった。サラ・ベルナールのサロメ見たかったなぁ。オスカー・ワイルドとグレイテスト・ショーマンのP.T.バーナムが同じ時代に生きていたというのも面白い。「彼は何をしたの?しゃべり散らすこと以外は何もしないのね。」2024/04/03
ふゆきち
4
あきれるほどの社会不適合者っぷりと計画性のなさ。そこが魅力的なところでもありますが。大人物です。2024/09/18