内容説明
書聖の名蹟を右頁に、その書き下し文、訳文を左頁に配した対訳式構成による初めての解説書。書法にのみ終始しがちな書道風潮の中で、碑帖の書かれた時代背景や各書家達の政治的社会的位置を明らかにし、歴史の側から碑帖を理解しようとする。
目次
蘇東坡赤壁賦
赤壁賦訳註
蘇東坡豊楽亭記
豊楽亭記補註
蘇東坡酔翁亭記
酔翁亭記訳註
感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
58
古書店で一目惚れした本でした。優れた詩人でもあり、書聖と称される蘇東坡。その文体は自由闊達で読み易いので書のお手本になりそう。その為、この本の内容を筆ペンで書き取っています。三篇とも人の栄華を掻き消す時の流れを嘆くのではなく、そこから生まれる自然の美しさを愛で、酒を呑み、平和を賞賛する詩でニュースで荒んでいた気持ちが和やかになりました。「酔翁亭記」は陶明淵への敬意の籠ったパロディだと知りました。また、『山河令』でずっと不思議だった、負けた方が酒を呷る戯れは、双方が愉しい罰ゲームだと分かった事も収穫でした。2022/04/12