内容説明
語りつくされたはずの過去の名曲の数々が、新たな驚きをもって聞こえてくる―音楽評論の視点を変えた名著、ふたたび!「こんな驚きの音楽評論は読んだことがない!」。各方面から絶賛された書籍「うたのしくみ」に大量の追加原稿を収録した増補完全版。
目次
うたのしくみ シーズン1(サンバがサンバであるからには―ジョアン・ジルベルト「サンバがサンバであるからには」;やさしさは成就する―荒井由実「やさしさに包まれたなら」;青春のしずめ方―荒井由実「卒業写真」;歌はどこから始まるか―ザ・ブルーハーツ「人にやさしく」;語りと歌のあいだ―幼稚園唱歌「お正月」 ほか)
うたのしくみ シーズン2(二人でやり遂げる歌―クリステン・ベル&サンティノ・フォンタナ「とびら開けて」;にじむデュエット―石原裕次郎・牧村旬子「銀座の恋の物語」;二つの声の物語―キリンジ「悪玉」;ABBAは何人いるのか?―ABBA「ダンシング・クイーン」;コーラスの夜―ドナルド・フェイゲン「ナイトフライ」 ほか)
著者等紹介
細馬宏通[ホソマヒロミチ]
早稲田大学文学学術院教授。専門は日常行動の分析、19世紀以降の視聴覚メデイア研究ほか。バンド「かえる目」のヴォーカル&ギターとして、4枚のアルバムをリリースするミュージシャンでもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
10
前のヴァージョンも持ってるけど、大量の増補部分が気になって購入。そして増補部分がすごくいい。「複数の声」というテーマで繋がるABBAやジンギスカンやキリンジの話に色々な連想が生まれて楽しいし、Twiceにおける朝鮮語音韻構造の分析の章やロボ声の歴史の章はそこだけで学術書一冊くらいの情報が詰め込まれてる。分析と記述を共有する歓びが込み上げる。セリフの子音の分析だけで作品の芯を貫く「マッドマックス」の章と、リリック内の「We」とは誰かを考察して歌の複雑さを捉えるテイラー・スウィフトの章が特に好き。2021/04/02
ますりん
4
大友良英さんのJAMJAMラジオでおなじみ、細馬先生の著書が増補されてリニューアル。この自由自在な音楽評論スタイルは、アプローチの角度は異なれど、スージー鈴木さんなどに通じるものがあります。一番の収穫は2015年ケネディ・センターのアレサ・フランクリン「ナチュラル・ウーマン」。鳥肌もの。 年を経るとなんとなく好きなものばかり聴いてしまう今日この頃、こうして好奇心のトリガーを引いてくれる細馬先生に、そしてその気になればきちんとそうした音源や映像にすぐに触れられるインターネットに、厚く感謝。2021/05/22
ぷー
2
1つのうたに対する解像度が恐ろしく違っていて勉強になるどころか、畏怖を覚える。曲を作るってこんなに奥深いのか、、、と思う半面、著者も言っているが、大体は作るときにそこまで考えておらず、最後の段階で口ずさんだときに響きとか言いやすさ、聞こえ方を微調整していくうちに間隔でそれを選び取ったのだろうと。いや、でも、テイラー・スウィフトの曲は本当に考察が鋭すぎたし、確からしさが本当にあった。2023/07/09
Decoy
1
素晴らしく面白い! 目から鱗の連続。優れた歌、長く聴かれる歌、何か気になる歌には、しかるべき理由があることがよく理解できる。何度も聴いている「やさしさに包まれたなら」の伝えてくれること、一度も聴いたことがなかった「TT」の狂おしいまでの感情を初めて知って、感動でちょっと泣きそうになった…(この2つの章が、個人的なベスト)。Spotifyのプレイリストもあって、読む前・後・最中に活用できて便利。2021/12/22
加藤
1
超名著2021/09/25
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