内容説明
いつものように学校を終えると二人はすぐさま最終的な計画を練るため、殺害現場となる拓生の家へと戻った。真剣に拓生の話に耳を傾ける美麗にとって、この先に待つ光景は自分に対する善意でしかなく、初めて人の信用を試みる結果にもなろうとしていた。午前零時―ひたすら末駿の帰りを待ち続けた二人は、静かにドアを開けて家に帰宅した末駿が靴を脱いで上がった瞬間、声もあげずに部屋から飛び出すと美麗は優奈のため、自分のため、父を誅殺した―娘の刃に床に伏せるとそのまま動かなくなった末駿の死体をそのままに、今度は遺言書にあった住所を頼りに、朝になるのを待って奈未の家へと向かった―。仮借ない宿業に翻弄されながら、自己を見据える視線を逸らさず抵抗する少年達。血の絆ゆえに辿り着いた物語に用意された結末は罪の烙印が押されるものであった。17歳、鮮烈デビュー作。
著者等紹介
古田島恭平[コタジマキョウヘイ]
1983年6月、東京生まれ。中学3年頃より、小説を書き始める。現在、都立城北高校定時制に在学中
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