内容説明
純粋なる学問を追求する中欧の独立国家「カスタリーエン」の音楽名人によって、類いまれなる学問の天分を見出されたクネヒト。カスタリーエンの人となった彼は、様々な思想に磨かれながら、彼の地に伝わる「ガラス玉演戯」の奥義を極め、若くして、演戯名人の座を極める。しかし戦争や経済環境の激変などの余波は、聖地カスタリーエンにも影響を及ぼし始める。そして、ある日、クネヒトは重大な決意を実行に移す…。ヘッセのノーベル文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
145
中学生の頃に最も敬愛した作家。彼の唯一の未読作品をようやく読んだ。文章が美しく、話の展開が流れるようなヘッセが書くと、観念的な話のSF性が薄まって作り上げられる世界の美しさに浸っていくので、もうその心地よさに身を任せたくなるのだが…、彼にかかせているのは悪魔的に思える。「デミアン」の底を流れる物を、もっと巧妙に仕上げたかのようだ。彼は悪魔に魅入られたのか、悪魔に対して挑んだのか。これは彼が最晩年に書いた作品。デミアン以後、彼に憑りついていたものは何だったのか。時系列で彼の作品を読み返してみたい。2017/06/15
扉のこちら側
79
2016年1119冊め。【252/G1000】主人公の名前がKnecht(ドイツ語:しもべ)でなければ、ヘッセの創作であると思わず実在の人物の伝記だと思って読んだだろう冒頭。ヘッセのノーベル文学賞受賞を決定づけただけある名作だった。選ばれた子どもたちが国の援助で生活し好きな研究に一生を捧げられる架空の都市が舞台で、クネヒトはガラス玉演戯の道を歩んでいく。後に名人となった彼が驚きの決断を下すのだが、この辺りはヘッセらしい話だと思った。(続)2016/12/20
syaori
52
ガラス玉演戯名人ヨーゼフ・クネヒト。カスターリエンの英才学校に入学する少年時代から始まり、様々な経験を通してカスターリエンの精粋に近付いていく彼を追うのは何と心躍る体験だったことか。もちろん彼も困難や不安に直面しますが、そんな時でも感じる幸福に近い気持ちはどこから来るのか考えた時、それは彼の明朗さ、真にカスターリエン的な、しかし現在では失われつつある明朗さからきているように思われました。その、恐ろしいものの中を微笑しながら歩む明朗さが物語も私をも照らしていて、それは今も私の中で輝いているように思うのです。2017/02/17
たーぼー
38
どうやら私如きには厳しい山だった。かつて最高峰を制覇した大ヘッセですら、ここには苦しんだと聞く。しかし傲慢で人を寄せ付けない山ではないはず。なぜなら万人にその扉は開かれているのだから。芸術とは?人とは?最高の境地とは?俗念を没しクネヒトの案内に従ってみた。賢者達の声に耳を傾けてみた。全ての景色を眺める余裕はなかったが、追い求めるべき真実の生き方が微かにガラス玉の如き煌めきを放って見えてきた気がする。ここは鼓動する文学の山脈であり、「シッダールタ」「知と愛」を経てヘッセが辿り着いた涅槃寂静の地でもあるのだ。2015/03/15
Miyoshi Hirotaka
24
「ガラス玉演戯」が何かは最後まで謎。群盲象を撫でるような描写から想像すると、あらゆる知と美を集大成した芸術。脆さも併せると「ガラスの仮面」の劇中劇の『紅天女』のようなもの。その名人位を目指すために特別な才能を持つ者だけが選抜され、招かれるカスターリエンという架空の国が舞台。そこは、一般社会とは隔絶された学問、芸術の最高の組織。主人公クネヒトは少年時代から人生を捧げ、頂点に登り詰める。一方、そんな理想郷にも変化は訪れ、クネヒトを驚きの決断に追い込む。大戦中のヘッセの苦悩が垣間見える作品で、ノーベル賞受賞作。2023/09/05
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