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内容説明
ルールはいつも、マジョリティのもの。決められてばかりは、もうゴメン!見せかけの「権利」を与え、シタリ顔の温情を施す―そんなお仕着せの平等は真っ平。理解を求めるだけの“よい子の婦人運動”と訣別する、叛逆とアートの痛快フェミニズム講座!
目次
歴史編(戦前・戦中・戦後の日本におけるフェミニズム;1960年代ラディカリズムと女性;1970‐75:第二波フェミニズム―ウーマンリブと中ピ連;1960‐75:アンダーグラウンド―カウンター・カルチャーと女性アーティスト;1975‐80年代:上からの改革と消費文化)
実践編(1990年代以降:アカデミック・フェミニズムとフェミニスト・アート;「慰安婦」問題;2000年以降:バックラッシュ;教育・美術のジェンダー格差とハラスメント;検閲という相対主義;表現の不自由とフェミニズム;2019年以降:Me too後の日本のフェミニズム;今後日本のフェミニズムとアートはどこへ?)
著者等紹介
嶋田美子[シマダヨシコ]
アーティスト、60‐70年代オルタナティブ文化研究。1982年米国スクリップス大学卒。2015年、英国キングストン大学より博士号(美術史)取得。作品テーマは第二次世界大戦の文化的記憶とジェンダー。2017年より東京大学教養学部非常勤講師として戦後日本の美術、政治、フェミニズムについて講義(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aof
3
全然フェミニズムの歴史をわかっていない私にもわかりやすく、本当におもしろかった。 日本の運動が権力を奪還してこなかったという指摘はめちゃくちゃ腹落ちしたし、自分の感じてる生温さに通じてる気がした。2023/07/31
ずー
2
日本のフェミニズムの主流とされてきているものに対して、良い意味で”肩を持たない”本なのがとても良かった。軍国主義に加担した平塚雷鳥らの責任が問われなかったこと、慰安婦問題が日韓問題のみに押し込められ、日本人慰安婦については黙殺されてきたこと、母性偏重の運動がなされてきたことなどを指摘している。権力を自分たちから分離して、それに虐げられている「被害者」として女性の立場のみに焦点を当てていてはいつまでも前進できないのでは、という指摘は、クォンキム・ヒョンヨン『被害と加害のフェミニズム』と通じるところがある。2023/07/30
たろーたん
0
驚いたのが、あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」を日本へイトとして、同じ会場で桜井誠率いる極右・日本第一党が「トリカエナハーレ」という歴史修正主義の美術展をやっていたこと。「表演の自由」も「ヘイト反対」もかつてはリベラル側の常套句だったのに、今や極右側に乗っ取られた感がある。それくらい意味をなさず都合よく使われているのだ。一応見てみたが、「都合のよい椅子」や慰安婦の空気人形、そして、その空気人形に某新聞社の記事が書かれているポンプから空気を注入するチマチョゴリの桜井誠、とにかくヤバかった。(続)2024/10/10
mori-ful
0
論争的かつ啓蒙的で、とても勉強になった。日本フェミニズム の歴史には外圧→興隆→弾圧→翼賛(保守的な部分が権力と協働、利用される)というパターンがあると。戦争協力問題は知っていたが、当人たちは全然「反省」していないとは知らなかった!(小林秀雄風?)あいちトリエンナーレ検閲事件後に「日本の若い男性アーティスト」が右翼団体との対話の場をつくるというアプローチをとったことへの批判、2000年の女性国際戦犯法廷で露呈した日本フェミニズムの欠点(帝国主義)2023/07/15