出版社内容情報
世界大恐慌から第二次世界大戦の間、僕の目に映るパールストリートはクレイジーな女だらけだった。トレヴェニアン最後の長篇小説。そして、江國香織が、どうしても自分で訳したかったという一冊!
内容説明
世界大恐慌、父の失踪、スラム、貧困、第二次世界大戦。アメリカンセンチュリーに、僕と若い母と幼い妹が暮したパールストリートは、クレイジーな女だらけだった…。トレヴェニアン最後の長篇小説!
著者等紹介
トレヴェニアン[トレヴェニアン] [Trevanian]
1931年、アメリカ、ニューヨーク州生まれ。本名はロドニー・ウィリアム・ウィテカー(Rodney William Whitaker)。1972年、『アイガー・サンクション』で小説家としてデビュー。小説のほか、脚本や演出も手がける。2005年、没
江國香織[エクニカオリ]
東京生まれ。1989年「409ラドクリフ」で第1回フェミナ賞受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞を受賞。2010年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞を受賞。他、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろんこ*勉強のため休止中
164
トレヴェニアンってミステリーだけじゃなかったんだ!1930年代、父親に見捨てられた母子がアメリカのスラム街で生き抜いていく物語。一人一人の登場人物達が悪意、残酷さというような負の部分も含めて描ききられていた。ちゃんと息をしていた。第二次世界大戦の時代背景も挟まれていて臨場感たっぷり。ディティールまで丁寧に描かれていて、物語にひっぱられているというよりも、むしろ自分も一緒に生きているような融合感。主人公の少年はトレヴェニアン本人だろう。最初から子供の仮面をつけた大人だった。江國香織さんの訳も読みやすかった。2015/05/06
りつこ
46
とても良かった。苦い物語だが、主人公の豊かな想像力と母親の生命力に救われた。ドン底に落ち込んだ時にたよりになるのは反骨精神と自尊心と想像力だということを教えてくれる。彼らはみな欠点だらけだけどなんと愛しいのだろう。悲劇を喜劇に変えるのはユーモア精神なのだなぁ。江國さん翻訳というのに惹かれて読んだのだが、読んでよかった。痛快!2015/06/13
星落秋風五丈原
42
ずぼんをひらがなで書く所が江國さんらしい。アメリカのスラムにやってきた少年時代を回想形式で描く。時代は大恐慌時代~第二次大戦まで。「いつか船が来てここから出ていく」ことをエキセントリックな母・母の期待を受けてダンスを習う妹・ペテン師の才能を受け継いだ少年(作者投影)三者三様に夢想していたが、出て行く時にはノスタルジーを感じるまでに。ユダヤ人のケ―ンさんが語ってくれる折々の言葉がそのまま人生訓に。2015/06/30
ゆかーん
40
読んだに登録はしましたが、すいません…途中までです。どうにもこの改行のない文章に読むのがつらくなってしまいました。話は面白いのですが、校正に難ありです。1930年代に主人公の「ぼく」が、パークストリートというアメリカのスラム街で生活する物語なのですが、この「ぼく」の母親が結構な変わり者です。帰ってくる当てもない父親を待ちながら、スラム街で生活する家族と、この町の奇妙な人々が何とも不穏な気持ちにさせてくれます。結末が気になるところですが、やっぱり読むのを断念します、ごめんなさい…。2016/02/17
二戸・カルピンチョ
32
私は、人にはそれぞれの役目があって生きているのだと思っている。素晴らしい人も、残念な人も。それは殺人犯であってもそうなんじゃないかしら、と幼い頃から考えていた。そこまで全てを受け入れる振りをしなくてもいいし、実際はそれで、自分はどう考え行動するのかって事でしょう?多くの困難に見舞われつつも、そういう状態でこそ底力を発揮するクレイジーな母と、健気に支えるひねた息子の話。人は変わろうとしても変われない。ずっと困難なままでも生きていけそうな気がした。2018/11/19