出版社内容情報
私たちが見るホタルの光は、1億年以上にわたりホタルが命をつないできた途方もない時間の流れのなかの一瞬の輝き――「ホタルをはじめ多くの生きものたちは、どうして長い時間、種をつないでくることができたのか?」この深い問いへの答えを、生物学者の福岡伸一さんが、ホタルのすむ小川の環境から、壮大な時間の流れまで、自然の中にあるつながりと力、「動的平衡」を通して、子どもたちに向けてやさしく語りかける作品です。
内容説明
福岡伸一さんはじめての児童書。いのちは絶えずつながりあう。大阪・関西万博公式ライセンス商品。小学中級から。
著者等紹介
福岡伸一[フクオカシンイチ]
1959年東京生まれ。生物学者。京都大学卒業。青山学院大学教授・米国NYロックフェラー大学客員研究者
五十嵐大介[イガラシダイスケ]
1969年生まれ。漫画家。1993年、「月刊アフタヌーン」(講談社)にて四季大賞を受賞し、デビュー。主な漫画作品として、『魔女』(文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞/小学館)『海獣の子供』(日本漫画家協会賞優秀賞/小学館)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
59
ボリス雑貨店のイベント「まぼろしのどうぶつ展」に行った時にこの本を発見。五十嵐大介さんじゃん!しかもサイン入り。オリャ~!と高額にも関わらず、ハイな気分で購入してしまう。好きなんです、五十嵐大介さの描く絵。自然の描写がMy壺。んん?監修は「火の鳥展」でも監修を務めた福岡さんだ。小川のホタルの幼虫から始まり始まり。幼虫は何を食べるのか?小さなモノアラガイ、カワニナ。モノアラガイは何を食べるのか?川底の石についた水草。ホタルの幼虫を飼って成長への観察をするためには水草の付いた石まで持って帰らねばならない。2025/04/05
とよぽん
53
福岡伸一先生の絵本? 福岡伸一さんといえば、「週刊文春」に面白い文章を連載している生物学者、と認識していた。絵本、表紙がきれいでかわいい。しかし、内容は大変深遠なる自然界の摂理が、子どもにもわかるように優しく語られていた。素晴らしい絵本! 開発し破壊した自然を「再生」するだなんて、ニンゲンの浅はかな思い上がりだ。ありがとう、ホタル。2025/09/04
れっつ
33
ホタルの生態を軸に、自然や生き物、人間までも、いのちの時間の流れと摂理を、詳細で爽やかな水彩画で表した"たくさんのふしぎ傑作集"。女の子とおじさんの関係性は明記されていないが、ホタルを飼いたいと言った女の子に、簡単に飼うことはできないことを気づかせるおじさんの言葉かけが素晴らしい。たとえ食う・食われるの関係であってもそれは生命のつながりであり、あらゆる生物の生存に寄与していること。自然はつながりを戻そうと再生に向かうが、人が壊した自然が元に戻るには果てしない時間がかかること。大人も心にグッとくる良書。2025/06/20
まる子
23
たくさんのふしぎ傑作集より「蛍」。ホタルのいる川に行った女の子が「蛍の幼虫を家に持ち帰り飼いたい」と。父は幼虫が食べるもの、そのモノアラガイが食べるもの、コケに必要なものを教えながら、一億年前から命をつないできた生きもの(ここでは蛍)について娘に語る。そして人間の開発により壊された自然はその後どのように変わるのかを、著者の福岡伸一さんが研究されている「動的平衡」を、その言葉を使わずに知る事ができる絵本。狭義の意味としての食物連鎖だけに終わらずに、これまでの生命が繋がれてきた事実。読友さんの読んだ本より。2025/08/31
ひめぴょん
13
じっくりと自然を観察した目を通して見ると、いつもと違う発見があることを教えてくれる本。自然は巡りを営んでいるその場でないと成立しないこともあるので、切り取らない方がいい。 生命には絶えず互いにつながろうとする力がある。食う・食われるの関係であっても、それはつながり。 ひとたび人間が壊してしまった自然のつながりがもう一度回復するためにはとてつもない時間がかかる。それでも、自然はゆっくり動いていく。 2025/05/22