出版社内容情報
鉱物で描く元素のものがたり。結晶を愛する著者が、元素の姿を求め、岩塩の結晶をハンマーで極小まで割り、庭で鉱石を熱す。するとみえてくる、元素・原子の世界。この世はぜんぶ原子でできていて、それは90種類ってほんと?石といっしょに考えよう。美しく、ちょっとかわった元素の本です。有機化学者でもある著者の実験魂あふれる一冊。石ころと元素の世界のたしかな結びつきを、子どもたちに届けます。
内容説明
石好きの子どもたちへ!光る新鉱物「北海道石」をみつけた化学者がおくる初の児童書。身近な世界から考える、うつくしくちょっとかわった元素の本。小学中級から。
著者等紹介
田中陵二[タナカリョウジ]
1973年、群馬県生まれ。東海大学理学部化学科客員教授。(公益財団法人)相模中央化学研究所主任研究員。群馬大学大学院工学研究科博士後期課程修了。科学技術振興機構研究員などを経て現職。専門は有機・無機ケイ素化学、結晶学および鉱物学。マクロ科学写真の撮影もおこなう。2023年、チームで発見した光る新鉱物「北海道石」が世界的な機関に新鉱物として認められ、この石の筆頭記載者、命名者となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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岡部敬史/おかべたかし
86
「あらゆるものが元素からできている」とは学校で習うけど何か今ひとつピンとこない。でも、これ読むとストンと腑に落ちます。もっとも感じいったのは、こういった元素の世界を、先人たちは「結晶が割れてもなぜ同じような形になるんだろう」という素朴な疑問から解き明かしていったところ。中に明治時代に作られた結晶模型が紹介されているんですが、昔の人はこんな模型を作り「どうしてこんな形になるんだろう?」と頭を悩ませたんですね。ぜひ家族で。大傑作でした。2025/06/01
☆よいこ
82
分類459。知識絵本。フルカラーふりがなあり、結晶の写真がとても美しい▽塩、鉱物~水晶について。「元素」とは種類に注目するときに使う言葉で、ひとつひとつのつぶに注目するときは「原子」とよぶ。地球は「水の惑星」だけれど全体の重さでは「鉄の惑星」である。海で集めた砂鉄を熱して鉄を取り出す実験。孔雀石を熱して胴を取り出す実験。コンブを燃やしてヨウ素溶液を取り出す実験▽注)実験は大人と一緒に十分注意して行うこと。岩石・鉱物の採集は許可を得ること▽2024.2刊。隕鉄の切断面がすごいキレイです、初めて見ました。2024/10/11
たまきら
40
「石」とはなんだろう?元素の結晶も美しいけれど、自分はごく普通に身近にある「石」も好き。そんなことを思いつつ、元素純度の高い「結晶」を楽しみました。…なんか飛行石の結晶を直視できないポムじいさんみたいなこと言ってるな、私…。年を取ってよごれっちまったことが逆に居心地がいいのかもしれないな。中原中也もこの年まで生きたら違う詩を書いたかもな。2024/10/17
ころちくわ
18
小学校高学年向け絵本。石を小さくして元素を考えていくのが面白い。小学生の時、磁石で砂鉄を取ったのを思い出した。古代人は砂鉄を炭で燃やして溶かして鉄の道具を作っていた。金は世界中で掘りつくされて、もう増えないから価値があるのかな。2025/06/02
Chiyo K.
17
石といっても、結晶になるような、ある元素や化合物の純粋な塊、鉱物の話。地球上のものは全て90種あまりある元素の組み合わせからできているということを、人はその結晶の形から想像し調べて、知識を得てきた。身近な結晶として、岩塩、水晶を紹介。鉄や銅、ヨウ素を取り出す方法も紹介。燃やしたり熱したり何かを混ぜたり、こういう方法は全て化学式や数式で表せるんだろうなあ。ぼんやりした頭で想像するにはクリアすぎる世界だが、写真がとにかく美しい。市立図書館に電子書籍版があり、すぐ読むことができた☺2024/10/13