内容説明
秋の森深く。幻のきのこを探して、ヤービたちと大きい人たち2組の冒険がはじまる。
著者等紹介
梨木香歩[ナシキカホ]
1959年生まれ。作家。小説に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『舟生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『家守綺譚』などがある
小沢さかえ[オザワサカエ]
1980年生まれ。画家。京都造形芸術大学芸術学部洋画コース卒業。2004年から2008年まで、ウィーン美術アカデミーに留学。主にMORI YU GALLERYで展示を行うほか、国立国際美術館でのグループ展に参加。また、台湾、香港でも個展を開催している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
165
空気も何も、透き通ってしずかな秋。黄金のテント、落ち葉の絨毯はふわふわとやわらかく、セピアの色と透き通った空気は胸にぎゅうっと泣きたくなる。「なんだか胸のあたりがつらいんです。でも、いやじゃないんです」秋のきもち、大好き。ヤービ、大好き♡ ヤービ2作目は、深い秋にあわせてちょっと切ない。ユメミダケの見せた夢も、子どもたちの成長も、押し迫る別れの気配も、秋のこの匂いも。 ヤービとの暫しのお別れが寂しいから、早く続編が読みたいです。次は春かな?冬眠のお話も読みたいなぁ。2019/10/29
へくとぱすかる
144
「秋の気もち」を感じることは、ひとつの成長かもしれないし、また冬の準備への気づきなのかもしれない。幻のようなユメミダケをさがすヤービたちと、ウタドリさん。今回の話にはスクールの生徒たちも登場し、むかしの手紙に導かれたギンドロ少年とともに森へ探検にでかける。かつて読んだ、ゆったりとした長い物語のような語り、挿絵、そして造本。作者がイギリスで児童文学を学んだ人と聞いて、なるほどと。新しいけれどなつかしい。読んで心がおちつく作品。ヌマスギと、そしてよく似たメタセコイア!2020/02/03
ぶち
116
だいぶ風が冷たくなり、銀杏の葉を舞い落とし木ではなく地面を黄色く染めていますが、日溜りの温もりには未だ秋の気配が残っています。そんな季節に、この物語が読める幸せ!そして、今作ではフリースクールの寄宿舎の人達も登場してくるのです。私は小さな頃から寄宿舎が舞台になっている物語を読むと、なぜか興奮し、読書の幸せを噛みしめるというクセがあるのです。ヤービたちの世界と寄宿舎の人とが秋の森で不思議な交流をする今作は、だから私にとってはたいへん嬉しい物語なのです。2019/12/12
ちゃちゃ
115
深まりゆく秋。ヤービの棲むマッドガイド・ウォーター周辺の木々も美しく色づき始める。その自然の変化を愛おしむ心が「秋のきもちを知る」心。それは生命力溢れる春とは異なり、変化や喪失を受け入れる心でもある。今作は心に重い何かを抱える子どもたちの冒険と再生の物語。彼らに寄り添う仲間やその成長を見守る大人たちが、命の輝きを取り戻すため、ともに励まし合いながら森を行く。満月の夜、ユメミダケの胞子の降り注ぐ中で時空を超えて見る夢。それは梨木さんから「永遠の子どもたち」に贈られた生きる勇気と希望を授ける魔法かもしれない。2019/10/08
ままこ
105
嬉しい♪またヤービに会えた。ウタドリさんの勤め先フリースクールの様子も描かれている。透き通った空気、静かに深まる秋の森に伝説のきのこを探す冒険へ!丹念な描写に浮かび上がる清々しい情景。 ワクワクしながらページをめくる。登場する食べ物がおいしそう。「秋のきもちを知る」ウタドリさんの言葉は分かりやすくストンと心に落ちた。よく頑張ったトリカにはそういう才能が眠っていたんだ…。小沢さんの画が愛らしく素敵。優しく思いやりに満ちたファンタジックな世界観を存分に堪能。森林浴をしたような読後感。面白かった。2019/11/26