出版社内容情報
偶然の出会いで三姉妹となった少女たちが、舞台の世界に挑み、助け合って乗り越えていく様子をユーモアたっぷりに描く成長物語。1930年代のロンドン。身寄りのない三人の赤ちゃんが学者に引き取られます。三姉妹は「フォシル」と名乗り、その名を歴史に残そうと誓い合うのでした。そして舞台芸術学校に入学し、自立への道を歩み始めます。女優志望のポーリィン、舞台が嫌いなペトローヴァ、バレエの才を持つポゥジーが、オーディションや公演などの関門に悩み、助け合い乗り越えていく様子をユーモアたっぷりに描く成長物語を、完訳でお届けします。
ノエル・ストレトフィールド[ノエル・ストレトフィールド]
著・文・その他
朽木祥[クツキショウ]
翻訳
金子恵[カネコメグミ]
イラスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
108
心洗われる感動の少女物語。化石収集家のマシュー氏(通称ガム氏)が路傍で拾った3人の捨て子ポーリィン、ペトローヴィア、ボゥジーを姪のシルヴィア、乳母のナナなどに預けたまま化石収集の旅に出る。残された三姉妹は少しずつ成長し、舞台芸術の学校に入学して研鑽を積む。長女のポーリィンはそのまま美人女優への道を歩む。ペトローヴィアは飛行機に興味を持つ。ボゥジーはバレェの道に目覚める…。密度の濃い文章により3姉妹の性格、人となりの形成過程が正確に暖かく描かれて読者は彼女たちの世界に引きずり込まれる。⇒2024/07/09
はる
69
1930年代のロンドン。身寄りのない三人の赤ちゃんが姉妹となり、バレエを通して成長していく物語。朽木祥さんの文章、金子恵さんの挿絵なので、これまでの版よりもリリカルな雰囲気。性格はバラバラだけれど、しっかりとした絆で結ばれている姉妹。次女が一番共感出来たかな。舞台裏やオーデションの描写がやけにリアルだと思ったら、作者は女優さんだったのですね。いつもお金がないと嘆いているわりにはお手伝いさんがいたりして、あまり緊迫感がないのは不思議な感じ。当時のイギリスの封建社会が垣間見えますね。2021/12/10
ひめありす@灯れ松明の火
64
今年の「サン・ジョルディ子ども本の日」に合わせての一冊。ローズグレイにピンクの、おまけにタイトルがバレエシューズ!なんて端正で慈愛に満ちた、正しく少女の為の一冊だ!おそらくは昭和初期に英国の少女に向けて描かれた本を平成の終わりに平成に少女時代を過ごした大人の私が読むという面白い構造になりました。物語のラストで「三姉妹の誰になりたい?」と問われるのだけど、やっぱり踊るのが好きだからポワジーになりたいかな。でも美少女で女優の卵のポーリーンもいいし、ペトロ―ヴァの人生もこれから波乱に満ちて退屈がなくて楽しそうだ2019/04/29
ぶんこ
50
ガムおじさんの養女となった3人の女の子。ガムおじさんが長期間の旅に出てから音沙汰がなくなり、生活費にも困るようになったのを心配して、幼いながらに役に立とうと頑張る3人。イギリスでの12歳未満が、金銭が介在する仕事(演劇、舞踊)につくのが出来ず、12歳以降も収入の一部は強制的に貯蓄を義務づけていたり、子どもを守る体制が整っているのに驚きました。留守を守る姪のシルヴィア、家政婦のナナの責任感の強さも素晴らしい。お芝居やミュージカルへの出演で得るお金の、子ども、大人の配慮が凄い。2022/01/05
oldman獺祭魚翁
41
図書館 以前から抄訳が出ていた「バレエシューズ」が今回完訳が出たということで、読んでみました。訳あって姉妹として育つことになった、ポーリィン、ペトローヴァ、ポゥジーの三人。それぞれ個性的な子供達が育っていく物語。著者が元女優ということで、当時の演劇界の姿が解りやすく描かれている。ランサムとほぼ同時代だが、ランサムのネイチャー指向に対し、あくまでも都会指向なのが面白い。やはり英国の児童文学は飛び抜けて素晴らしい。2019/05/08