出版社内容情報
とうふ屋の七兵衛が出会ったおさむらい。毎日とうふを持っていっても、いっこうにお代をはらってくれません。その理由とは……?はたらき者のとうふ屋七兵衛さんは、ひとりのおさむらいに出会います。おさむらいはよほどとうふが好きなのか、なにもつけずに一丁ぺろりと食べてしまいます。「とうふ代は後ではらう」というのですが、実はとうふ代もはらえないほどまずしい暮らしをしているのでした。話を聞いた七兵衛さんは、こまっているおさむらいを放っておけず、少しでも元気づけようと毎日おからをさしいれることに。ところがある日、七兵衛さんが熱を出してしまいます……。
宝井琴調[タカライキンチョウ]
著・文・その他
ささめやゆき[ササメヤユキ]
イラスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
81
タイトルの"徂徠"、どこかで見たような、聞いたような… 調べたら儒学者・荻生徂徠でした。地道に売り歩いている豆腐屋から、毎日豆腐を一丁買う浪人。「細かい金が金がないから」という逃げ口上を言い続けるも、疑わずに豆腐を売り続ける豆腐屋七兵衛。浪人にお金がないと分かっても、何かを食べさせてやりたいといろいろめぐんだりしていたところ、七兵衛が火事で焼け出されてしまいます。そこに現れたのが、出世した浪人・荻生徂徠だったのですね。七兵衛の情の温かさ、荻生徂徠の学問への姿勢。講談の語り口でじんわりと身に沁みてきます。2024/09/30
yomineko@ヴィタリにゃん
50
お金がないのに、お侍さんったらお豆腐をどんどん注文して出世払いにする!たまりにたまった20文があるが、可哀想に思った優しいお豆腐屋さんは、その冷や奴侍におからに醤油を混ぜて持って来てあげていたが、ある日家が丸焼けに!ところが10両も持って来てくれた立派な人が。それは何とあの貧乏だった冷や奴侍さんが、出世して立派になったのであった!恩を忘れず返す冷や奴侍さん、素敵ですね✨✨✨2024/10/14
gtn
29
結末から遡ると、かずさ屋七兵衛の一丁四文の豆腐がこの上なく豊かなものに思える。2021/01/14
ねなにょ
26
七兵衛さんのように、ピュアな心で他人を信じられるな世の中であったら、もっと生きやすいだろうに…。しかし、ツケで豆腐を食べまくってたクセに、握り飯を断った荻生徂徠流の美学? は、カッコいいけれど、笑えた((´∀`*))。2019/11/05
oldman獺祭魚翁
22
講談の中でも出世物・世話物に分類される話だが、荻生徂徠と言えば、最近子孫が東大に膨大な資料を提供して話題になっているようです。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220516/k10013624711000.html2022/05/27