出版社内容情報
ある目的を達成するために同盟を結んだ4人は、〈4ミリ〉の仲間だった。果たして彼らは、目的を成し遂げることができるのか?この物語の主人公、ポイット氏には、ある悩みがあった。まわりの人びとがみな習慣的に口にしている〈フラココノ実〉を、まだ食べたことがないのだ。小さなリンゴほどの、ヘリオトロープ色の果実……果汁豊かなその実は、やさしく切ない、遠い夢のような味がするという。なぜ自分は食べることができないのか。いつになったら……。同じ憧れをもつ仲間と、同盟を組んで目的を達しようとするポイット氏。果たして結果は?
高楼方子[タカドノホウコ]
著・文・その他
大野八生[オオノヤヨイ]
イラスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
89
こんな風変わりでへんてこな設定、もう大好き。奇想天外な出だしからつい惹き込まれてしまう。ドラえもんが3ミリなのは有名だけど、こちらの登場人物達は4ミリなのだ。食べるとやさしく切ない、遠い夢のような味がするヘリオトロープ色の果実フラココノ実。皆が食べているこの実を何故かいつも邪魔が入り長年ずっと食べられない中年紳士ポイットさん。同じ境遇の主婦エビータさんや画家のバンボーロ氏、コロリータおばあちゃんも加わって愉快なお話が出来上がっていく。こんなに楽しい物語を創り出す高楼方子さん。もっともっと読んでみたいな。2022/02/09
chimako
86
楽しかった。「地に足の着いた」とは 「考え方や行動が堅実・着実で、裏付けがしっかりしている様」とある。(広辞苑第七版1856㌻) つまり、この物語の登場人物たちは4㍉浮いて地に足の着かない人たち。仲間を見つけてワクワクしたり、トム・ソーヤーよろしくいかだで海を渡ったり。そんな初々しい気持ちの素敵な人たち。地に足を着けるために食べるフラココの実。食べる前は何かが足りないけれど食べた後は何かをなくす。足りないものはつまらない分別か。なくすのはピュアな心か。楽しそうなパーティのハッピーエンドで良かった!2019/08/20
はる
80
子供の頃は必要ないのに、大人になると食べずにはいられなくなる「フラココの実」。この実の意味するものはなんでしょう。それがこの物語の核心かもしれません。ユーモラスで楽しい物語ですが、根底にはビターな風刺が感じられます。4ミリ同盟の人たちが羨ましい。だって私は楽しそうな彼らの様子を、うっとりと覗き見するしか出来なくなってしまっているのだから。2018/05/07
ペルー
76
表紙もイラストも可愛い❗児童書なのに主役はおじさんおばさんなのがいい(笑) お話の設定も捻りがあっていいなぁ☀️ 得るものがあったら失うものがあるんですよね。大人になるってそういうことなのかも。2018/06/05
野のこ
70
【高楼方子。11月の扉を開けよ読書会】のイベントにて、皆さまのおすすめ★ 何かを得て何かを失う、ヘリオトロープ色の 小さなりんごのように愛らしい、優しく切ない 遠い夢のような味のする〈フラココノ実〉。。3ミリでも2ミリでもなく4ミリなのだ。うーん、食べてみたいけどひょこひょこふわふわと歩いてもみたい。性格も年齢も違う同士が最後にみんなでダンスを踊るシーンはお気に入り♪大切なのは、うふふっと笑い合える仲間ができて楽しいってことなのかな。裏表紙がすごく可愛い♡頬が緩みました。2018/11/04