出版社内容情報
男の子カイと女の子カイサはいつも枯れ木にとびのって遊んでいました。ある日、枯れ木はドラゴンのように空へとびあがりました……男の子カイと女の子カイサはいつも倒れた枯れ木にとびのって遊んでいました。ある日、いたずらトムテが枯れ木に魔法をかけました。カイとカイサがとびのると、枯れ木はドラゴンのように空へとびあがりました。二人がたどり着いた小さな島の草地で、お姫様が泣いていました……スウェーデンを代表する絵本作家、エルサ・ベスコフが1923年に描いた名作です。中世画風のこの美しい作品は、絵本の楽しさを存分に味わわせてくれます。
エルサ・ベスコフ[ベスコフエルサ]
エルサ・ベスコフ(1874-1953) スウェーデンを代表する絵本作家。父親を早くに亡くし、一家は母方の叔父叔母のもとで暮らしました。この叔父叔母は、エレン・ケイの影響を受け、遊びを通して子どもが自主的に学ぶ新しいスタイルの学校を経営していました。ベスコフの作品を貫く、「子どもの自由を尊重する」という考え方は、この頃に培われたものでしょう。やがて、ベスコフは画家を目指して工芸学校へ進学します。1897年に、初めての絵本『ちいさな ちいさな おばあちゃん』を出版。結婚し、母親となったのちも、絵本・児童文学作家として多くの作品を発表しました。1952年にニルス・ホルゲルション賞を受賞。この作品は、絵本というよりも、幼年児童文学として捉えるのが適切でしょう。中世絵画風の画面と、ベスコフらしい自然描写の対比がおもしろい作品です。読者に、昔話の世界で活躍できる楽しさを存分に味わわせてくれる作品ですが、同時に、男女平等、労働の美徳、押し付け教育や出自による差別に対する批判もさりげなくもりこまれています。
まつむらゆうこ[マツムラユウコ]
まつむらゆうこ 埼玉県生まれ。昔話と児童文学を研究するかたわら、東京スウェーデン語学校でスウェーデン語を学ぶ。物語と海と猫が好き。現在、聖徳大学講師、白百合女子大学非常勤講師。この絵本に出会ったのは、ストックホルムの小さな古本屋さんでした。店番のおばあさんが、「私の子どもたちもこの絵本が大好きで、繰り返し繰り返し読んであげたのよ」と教えてくれました。日本の子どもたちにとっても、この絵本が子ども時代の大切な思い出になるように願っています。
感想・レビュー
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花林糖
Shoko
いろ
みよちゃん
いっちゃん