内容説明
マンタのせなか、せなか町のふしぎなお話集。
著者等紹介
斉藤倫[サイトウリン]
1969年生まれ。詩人。2004年『手をふる 手をふる』(あざみ書房)でデビュー。14年『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で長篇デビュー。同作で、第48回児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞
junaida[JUNAIDA]
1978年生まれ。画家。2007年から11年まで芸能プロダクションAMUSEにアーティストとして所属。10年、京都・荒神口にHedgehog Books and Galleryを立ち上げる。14年より、京都精華大学客員教授。ボローニャ国際絵本原画展2015入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
160
「そのルルカから生まれた小さな海は、ぽろり、と、したまぶたをはなれると…小さな岬のようなあごの先から、したたりはじめます」…文章がとてもきれい。穏やかなで不思議な世界は読んでいて心地良かったです。「ひねくれカーテン」「ルルカのなみだ」が特に好き。「にんげんたちが、かってに住んで、かってにできただけじゃよ。わしが、くしゃみをしただけで、海に投げだされてしまうさ」私もせかな町にいるのかな。海を漂う大きなマンタに似た何かのせなかに…。2020/12/21
ちゃちゃ
117
そうか、自分の背中って直接見えないんだ。でも、見えないからこそ豊かな想像の世界が広がる。物語の舞台はマンタという巨大なエイの背中にある「せなか町」。体の弱いおばあさんを守るひねくれカーテン、名前を落としてしまった女の子、涙を集めた蜂蜜の絶品パンケーキ…。不思議な話、変てこな話、心がチクッと痛んだり涙がほろりとこぼれる話。子どもたちはひととき、現実世界を抜けだして空想の世界に遊び、きっと理屈抜きに楽しむのだろう。斉藤倫さんのやわらかな語り口に、junaidaさんの素敵な装画や挿絵が絶妙にマッチングした一冊。2020/02/19
アン
100
海の王であるマンタの背中の町で繰り広げられる不思議なお話。おばあさんを守る「ひねくれカーテン」、蜂蜜とまじりあう涙のしずくが美しい「ルルカのなみだ」、演奏の仕方がわからない楽器の秘密「麦の光」…。雨風の勢い、黄金色の蜜の輝きと香り、奏でられる魔法の音。紡がれる言葉が詩のようで、お話も愉快なものからほんのりビターな味わいのものまで。自然と触れ合いながら過ごす一日一日が愛おしく感じられます。甘やかな優しさと切なさが心地よい余韻を。心あたたまるタイトル。Junaidaさんの装画や挿絵も素敵な一冊です。 2020/09/30
☆よいこ
85
児童書。junaidaさんのイラストが素敵。長い間意識を失っていた巨大な魚の背中に町ができていた。せなか島のせなか町の、ノスタルジックなお話が6つ+魚の話▽[ひねくれカーテン]ニーダがマイナに話した面白い話、カーテンVS嵐[名まえをおとした女の子]デイジーはお転婆[カウボーイのヨーグルト]牛飼い[ルルカのなみだ]蜜蜂が狙うぞ[麦の光]誰も演奏できなかった珍しい楽器[はこねこちゃん]いるといいなって思ったんだ[せなか町から、ずっと]いまならできる。わしは、そうおもった。▽とても良質な児童文学。2016年刊2023/03/03
がらくたどん
79
そういえば絵本でばかりお目にかかって来た斉藤さん。ご感想に惹かれて。詩人と気鋭のイラストレーター氏の手掛けた、海の王様マンタの背中に勝手にできた街を舞台にした楽しくて不思議でほんの少し物思いにふけっちゃうような童話集。古いカーテン、お転婆な女の子の名前、名カウボーイの牛、犬を失くした女の子の涙、鳴らせない楽器、猫が出てこないちいさな箱、そして海の王様でも届かない空の鳥。穏やかな背中の街で起きるちょっとしたピンチに魔法のように誰かの手が差し伸べられてふ~っと息がつける柔らかな場所に着地させてくれる。逸品♪2023/02/28