七十二歳の卒業制作―学ぶこと、書くこと、生きること

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 254p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784834082616
  • NDC分類 K913
  • Cコード C8093

内容説明

たったひと月しか通えなかった中学校、家計を支える働き手のひとりとして、さまざまな職を転々とした日々。学ぶ喜びを奪われた主人公・君子の姿には、作者の少女時代が色濃く映りこんでいます。そしい半世紀が過ぎ、きりっとした目の“遅れてきた少女”に、失われた時間を取りもどすチャンスがやってきました!

目次

第1部 君子・その時代―卒業制作から(防空壕;父帰る;姉ちゃんのないしょの話;妹、あつ子の誕生;雨;赤いハンドバッグ;彼岸花;坂本かの子さん;出会い)
幕間 おばはん四人組の墓参り
第2部 青春の情景―創作ファイルから(覧子のこと;戸をたたくのはだれ?;ぼくがイスでなくなったとき;芳江の青春;西長堀川;千津子の闘い;高校二年生の秋;消えた転校生)

著者等紹介

田村せい子[タムラセイコ]
1942年、大阪市生まれ。1955年5月、中学校への通学を約ひと月で休止し、住みこみで働き始める。以降、転職を重ねる。1963年結婚、夫の郷里・鹿児島へ。その後、夫の転職にともない愛知県犬山市、三重県鈴鹿市、再び鹿児島へと転居。その間、家事・育児のかたわら販売員・事務員として働く。1999年、大阪市にもどる。コンビニエンスストアでアルバイト。2006年、大阪市立天満中学校夜間学級入学。2007年、大阪府立大手前高等学校定時制に入学。2010年、梅花女子大学入学、2014年卒業

岡本よしろう[オカモトヨシロウ]
1973年、山口県宇部市生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒業。絵画・イラストレーションから立体まで、幅広く制作活動をおこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

baba

29
三歳で敗戦を迎え、中学校は一ヶ月だけで家庭の為に住み込みで働き、その後職を転々とするも復学の機会がなかった著者が末の子供が大学に進学した際に夜間中学から高校、そして大学まで進む。前半は著者の自伝、後半は学ぶことの厳しさ、楽しさが綴られる卒業制作の創作話ですがどれも辛い経験、厳しい現実に負けない伸びやかな優しい心情が伝わってくる。最後の大学の先生富安陽子氏の解説が温かい。2016/07/16

ぱせり

11
なぜ進学するのか、何を学ぶか、何のために…十代なら、きっとどこかで考えてみるにちがいない。しかし六十代・七十代には、五十年間待たされた学びには、全く違う意味があるのだ、と思う。それも紆余曲折ありすぎの七十代には。「気がすんだ」という言葉は、この作者だからこその言葉で、この作者だからこそのこの言葉は、とても大きい。よいものをいただきました。感謝。 2016/07/13

星辺気楽

5
久しぶりに熱い感動で涙が出ました。すべての現実を素直に受け入れつつも、生きることへの追及を忘れず、ただひたすらにそして真摯に打ち込んでいく。商売作家にはない、初々しさと素直な文章にも大変、感動しました。ぜひ子どもたちにも読ませたい一品です。2016/06/25

ぽけっとももんが

4
正直なところ、小説というよりは作文だなぁ、と思う。ただ、中学をほとんど通えないまま家族のために働いて働いて、ようやく一息ついた著者が、大学の課題として幼い頃を題材にしたものを書いて「気が済んだ」という、そのあとがきには心を打たれる。勉強するのに遅すぎることはないのだ。わたしが著者の年になって自分の来し方を書こうと思ったとして、書くことがどれほどあるだろうか。2016/10/20

ばしちゃん

1
前半と後半で話違うんだな。前半のが好き。2018/10/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/10917257
  • ご注意事項