出版社内容情報
トラウマと向き合う精神科医が、自身の経験も交えてつづる子育てのヒント。「母の友」連載時に多くの共感を呼んだエッセイです。
多くの人のトラウマと向き合ってきた精神科医が、自身の経験や専門知識も交え、子育てのこと、母親を取り巻く様々な問題について、やさしく語りかけるエッセイ集。赤ちゃんの泣き声にイライラしてしまう、ママ友付き合いで自分一人がはずれているように感じる…。日常の小さな悩みや違和感、言葉にならない気持ちを丁寧にすくい取り、そこから抜け出すヒントを提示してくれます。月刊誌「母の友」連載時に多くの共感を呼びました。
【著者紹介】
宮地尚子 兵庫県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻・教授。精神科医師。医学博士。専門は文化精神医学、医療人類学、トラウマとジェンダー。一九八六年、京都府立医科大学卒業。九三年同大学院修了。一九八九~九二年、ハーバード大学医学部社会医学教室、および法学部人権講座に客員研究員として留学。近畿大学医学部衛生学教室勤務を経て、二〇〇一年より、現職。著書に、『トラウマの医療人類学』『環状島=トラウマの地政学』(共に、みすず書房刊)、『傷を愛せるか』(大月書店刊)、『震災トラウマと復興ストレス』(岩波ブックレット)、『トラウマ』(岩波新書)などがある。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
122
著者の優しさを感じる本。優しさと言っても甘いものではなく、精神科医としての経験に裏打ちされた現実的な知恵が含まれている。「アウェイ感」や「身ごもる」は子育て真っ最中の女性を励ます内容。「身体の記憶」にある「いいこと日記」が一番印象に残った。その日に起こった良いことを3つだけ書く日記。この日記を続けると、良いことが起こっているのに、それを当たり前のように考えている心の状態を変えられるのだ。そして良いことを十分に感じられるようになったら、人にも喜びを与えられるようになるのだ。早速実行してみよう。2016/06/01
ネギっ子gen
79
トラウマと向き合ってきた精神科医が、自身の経験や専門知識も交え、子育てのことや母親を取り巻くさまざまな問題について、優しく語りかけるエッセイ集。日常の小さな悩みや違和感、言葉にならない気持ちを丁寧に掬い取り、そこから抜け出すヒントを提示。「母の友」に連載。<ひらがなに開いたのは、ひらがながもつ、何かが始まる前の未分化な感じ、白紙や白地図に近い感じ、そんな雰囲気が伝わるとよいなと思っているからである。ひらがなには、柔らかさや、あたたかさ、包み込むような感じもある。そういう雰囲気が醸しだされるとよいな>と。⇒2022/09/09
Tui
32
装丁も中身もとても美しい本。これから母になる人、母になりたての人、そのそばで寄り添い支える人、すべてに優しく言葉をかけている。ここまで心の奥に抵抗なく届く文章に出会ったのは、ものすごく久しぶりな気がします。でもこれ育児本でしょ、と手を伸ばさないのはもったいない。著者はトラウマやジェンダー等を専門とする医師であり博士。普段過酷な現実を目にしているから、なおのことなのだろう、母親や子育てをそっと応援する目線は、祈りに近く、とことん温かい。これは手元に置いておこう。誰かに贈ろう。2016/04/30
アンジー
25
昔学校の先生が言っていた→「子どもを産んで母親になるので、お母さんと子どもは同い年なんだよ」。この本の題名を見てそれを思い出した。読んでいると多くの気づきがあり、そして慰められ元気になる。「お母さんのための酸素マスク」を読みハッとさせられた。子育て中なにかと母親が責められる事が多い。でも母親だってどうしていいかわからない事が多い。まずは子育てしている(ケアしている人)が、人にケアされなければならない。日本の子育ては母親のワンオペ育児が多い、子育てって大変なのよ!子育てし易い社会づくりの為この本読んでほしい2024/06/13
ともこ
23
親になったばかりの息子夫婦のためになにか役に立つかと思って読み始めた。しかし、著者の柔らかいものの見方は、とっくに子育てを終えた年代の心にも響く。孤独感疎外感を感じたときは「今はアウェイだから」と考える。「見張る」より「見守る」は、親子に限らず心がけたい。困難を前にしても、大人は答えを与えるのではなく、子供も一緒に解き方を考えていく。なにより私たち大人も、生まれて成長し続けている存在なのだ。2022/11/05