内容説明
あそんでいるうちに、草原に迷い込んでしまった女の子。周りは背の高い草がいっぱいで…。
著者等紹介
加藤幸子[カトウユキコ]
1936年、北海道生まれ。主著に『夢の壁』(1983年第88回芥川賞受賞)などがある
酒井駒子[サカイコマコ]
1966年、兵庫県生まれ。東京芸術大学美術学部卒業。絵本に『金曜日の砂糖ちゃん』(2005年ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌、偕成社)、『きつねのかみさま』(2004年日本絵本賞、ポプラ社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
160
お母さんとゆーちゃんが手を繋いでいる後ろ姿に見とれてしまいました。どこにでもある風景なのに、なぜこんなに感動するのでしょう。風の音、草のなびく音が聴こえてきます。…少し不安になって目を閉じた少女の心の揺れ動きと感覚の鋭さ、子を思う親の優しさと笑顔が全てを物語っています。表現力豊かで、安らぐ色あいに包まれて、川辺にある草原で遊ぶ姿に胸打たれます。夏の日差しに映える白い帽子とワンピースが、若草の黄緑色に溶け込んでいます。子どもの目の高さを飛んでいった蝶々を夢中に追いかけて、どこに連れていってくれるのでしょう。2021/07/11
匠
136
ある夏の日の草原(くさはら)。素足に触れる草のくすぐったさと、蒸れたような温度。少し湿った土の匂い。歩いていくとたちまち自分の姿をすっぽり包み込んでしまうほどの背丈の草むら。目に映るいろんなものに夢中だから、迷子になったなんて思わなくて、1人でどんどん草を掻き分けていく。今だったらヘビが出るんじゃないかと逆になかなか入っていけないけど、あの頃はそんな知識もほとんどないまま無邪気なものだったな、などと過去のいろんな夏のワンシーンを思い出しながら読んだ。酒井駒子さんのやさしい絵がたまらなくいい。2014/08/13
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
82
女の子はお母さんとお父さんとお兄ちゃんと一緒に川に遊びに行きました。石の上に止まったちょうちょに手を伸ばしたら、スィーとくさはらの方へ逃げて行き・・。何が少女の心を惹きつけたのかが手に取るように分かる絵本でした。やはり駒子さんの描く絵は愛らしくて好きです♪★★★★2013/05/26
アキ
81
2011年発行。加藤幸子・作、酒井駒子・絵。ゆーちゃんはちょうちょを追いかけて親のいる川辺から草むらに入り込み、とうとう草に取り囲まれて、ちょうちょもいなくなった。泣きたくなって目を閉じると、いろんな音が聞こえてきた。目を開けるとお母さんが捜しに来てくれていた。女の子のちょうちょに誘われて迷子になったことで不安な中、目を閉じたことで感覚が鋭くなり耳で世界を把握する一瞬を、背景が転調する絵で表現しています。2021/06/16
Kawai Hideki
78
河原に家族で遊びに行った女の子。小さな蝶々を追いかけているうちに、草はらの海に入り込んでしまう。足にからまり、くすぐる草。草はらを波のように揺らす風。行く手を遮る背の高い草。飛びついてくるバッタ。鳥や虫たちの声。小さな女の子の、つかの間の冒険。2016/11/20