内容説明
何もかも吹き飛ばす荒々しい風。どん底の生活。だれかの温かい眼差し。あわい初恋。本当の幸せ、そして強さ。小学校上級以上。
著者等紹介
高橋秀雄[タカハシヒデオ]
1948年栃木県日光市(旧今市市)に生まれる。『やぶ坂に吹く風』(小峰書店)で2009年第49回日本児童文学者協会賞受賞。日本児童文学者協会会員、日本児童文芸家協会会員、うつのみや童話の会会員、こもれびの会顧問、「季節風」同人
森英二郎[モリエイジロウ]
1948年京都府に生まれる。木版画を中心に制作活動をしている。TIS(東京イラストレーターズ・ソサエティ)所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
60
昭和30年代。父親を亡くし、母親は出稼ぎ。貧しい生活の中で、祖母と弟と暮らす少年の日々の想いを素朴な筆致で綴った児童文学。少年の目を通して描かれる理不尽な大人社会が秀逸。本宅の人々に卑屈な態度をとる母や祖母に憤る一方、自分ではどうしようもない、貧しさに対する恥辱。クラスメイトの容赦のない陰口も心を抉る。そんな日々の中、転校生の少女の優しさは一服の清涼剤のようだ。派手さはないが、少年の心の動きを瑞々しい筆致で描いた良質の児童書。2023/03/25
ぶんぶん
7
【図書館】日頃、児童書には手を出さないのですが、知り合いの作家さんの著作という事で読みました。謂れなき中傷と貧困に喘ぐ生活を跳ね飛ばす、少年の心意気に感動しました。いくら頑張っても村中の眼は冷たい、それすら己の境遇と前向きに進む少年。小学6年生です、理不尽さにキレる事もある。しかし理解する周囲の人々の気持を糧に明日に生きる望みを託す、真っ当な児童文学かと思います。ただ、戦後10年の北関東の寒村状況を理解する人がどれだけ居るのでしょう。ましてや現代の子供たちは・・・父兄に宛てたメッセージかもしれませんね。 2013/03/16
杏子
7
課題図書中学生の部。 ひと昔もふた昔も前の話で、今の中学生たちにとっては大昔もいいところだろう。私の子どもの頃の教科書に載っていそうな話で、最初はあまり気のりがしなかったが、読みはじめてみたらいつの間にか話に引き込まれていた。貧しい家庭に生まれたコウゾウの思いを追いかけていた。昔、世話になった本宅の者に頭が上がらなくて必要以上にペコペコしている祖母キヨ、女ながら土方の賄いに働きに出た母キヌエ、本宅の主人忠明の息子の忠雄、学校の級友たち、転校生の文子… などなど生き生きした人物像が本作を2012/06/09
あるちゃ
5
昭和の、日本がまだ裕福でなかった時代、地域、人たちのお話。 「どうせおれなんか」と常に思いつつ今ある生活を一生懸命に行きるコウゾウ。 不屈という言葉がぴったりくると思いました。 彼のような人間がこの後の日本を支え、その結果日本経済はめざましい発展を遂げたのだろうなあ、と思いました。 戦後、諸外国が驚くほどのバイタリティを見せた日本は今いずこ? 読書感想コンクールの課題図書ですが、今の子供たちに「こんな生活が実際にあったんだ」と知ってもらうには良書と思います。2012/07/16
ようこ
5
特にストーリーがあるわけでなく大変な思いをしながら毎日健気に生きている農村の少年の話。とても地味で課題図書でなければ手に取られにくいかもしれない。骨太の作品だが読んだ後にこれで終わり?というきがしないでもない2012/06/27