内容説明
美しい森の季節の移り変わりの中で、いのちをつないでゆくミズナラの木の物語を描いた絵本。空気のにおいや、木々をゆらす風の音まで感じさせるように、精緻に、叙情豊かに描いています。
著者等紹介
高森登志夫[タカモリトシオ]
1947年、千葉県に生まれる。1970年、東京芸術大学油絵科卒業。1972年同大学院修了。画家。1974年、第18回シェル美術展1等賞。1987年、第12回日本国際美術展国立国際美術館賞などを受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MI
92
森にみずならの木が一歩生えています。春夏秋冬のみずならと動物たちの戯れが書いてあり、自分が森に入っている感覚になりました。大きな木はくさり、風で飛ばされて木が倒れる。そして小さい芽が育つ。その繰り返しの中で森が育っていく。神秘的で綺麗な絵本。2023/08/12
モリー
69
森の中の大きなみずならは、老木で弱っていました。ある日、大風が吹くと木は倒れてしまいます。月夜の晩、森の動物たちが集まってきます。何故集まってきたのか、何をしているのか、作者は一切説明しません。猿の群れ、雉の番、鹿や猪の家族、熊や栗鼠や兎の夫婦が倒れたみずならの木を囲みます。よく見ると、猿の群れの中には狸(?)の姿もあります。種の垣根を超えて倒木の周りに集い、その木の死を悼んでいるようです。みずならの実は森の中で多くの命を育みます。木は動物たちに乳を飲ませ育む母親のような存在だったのではないでしょうか。2021/05/01
陽子
29
みずならをめぐる四季が美しい絵本。一本のみずならと共に四季を駆け抜け、木の一生を見つめる。弱った木が風で遂に倒木。そしてその後は大地に還っていく様と芽生えに自然の偉大さを伝えてくれる。いつかの大風で私の身の周りで倒木した木を思い出した。直後は木が痛々しげに思えたが、冬が過ぎて春が来た時に、横倒れ枯れたかに見えた木から緑の芽吹きを見た。自然の畏敬を感じたあの時のことを、この絵本は思い出させてくれた。2021/12/04
p.ntsk
29
森の四季とみずならの一生。営々と受け継がれていく自然の営み。季節と共に移り変わる自然を描いた絵画の連作のようでした。2014/06/05
ひめぴょん
19
森の樹木にいのちの循環を感じる本。我が家にはドングリの木、ナツハゼ、ヤマボウシ、ナンキンハゼなどの樹木を植えています。我が家の樹木たちはどれも若くて元気。でも、私がこの世からいなくなった後 いつか 朽ちて倒れてしまうのだろう。もしかしたら、朽ちるまで生きることができず伐採されるのかもしれない。そういう点で山の樹木はいのちを全うできる。そういういのちの巡りが表現されています 樹木のような長い寿命を持つものは神秘を感じます。四季の巡り、いのちの巡り、植物と動物。幼木の姿が未来を感じさせる。倒れた樹に動物は集ま2023/08/17
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- おきらく忍伝ハンゾー 第壱巻