内容説明
過去に戻った男が、世界を救うために下した決断を、清々しく、光に満ちた10代の情景と重ねながら描く表題作「秒読み」をはじめ、筒井康隆の精髄14作品を収めた傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
67
面白かったです。ヤングアダルト向けのツツイ作品を集めていますが、どの作品も個性が強いと思いました。ナンセンスは抑え気味ではありますが、それでもしっかり味を出しています。もっと濃い作品は沢山ありますが、この程度の薄さでもツツイワールド全開なのが凄いところです。2018/08/17
tomi
22
ヤングアダルト向けに編集された筒井さんの短篇集。毒気とグロさは薄めだが、デビュー作の「お助け」から「遠い座敷」「走る取的」「関節話法」「バブリング創世記」etc傑作ぞろい。ほとんどが既読だが、各篇についている加藤伸吉さんの挿画が良い。「マグロマル」の議場に集まった大使の面々の画などとてもわかりやすい。2013/05/04
爽
14
すべてよかったけれど、特に「蟹甲癬」と「走る取的」が気に入った。恐ろしくて不気味なんだけれど、おもしろかった。本編もよかったけれど、長嶋有さんの解説も響いた。「ただ感じるために文学があるのだ。」なるほどと思った。筒井康隆の作品は豊かな心ばかりか、逃げ出したいようなそんな思いにさせる。これが現実ではないはずなのに、自分がいる世界が偽物なんじゃないか、と毎回思わせる当たり、やっぱりすごい人なのだ。2012/08/10
barabara
12
名作と呼ばれる話が幾つか入っている。キーンと頭が鳴るような、泣けるほど満ち足りた夕暮れ前の眠気が、数ページで見事に描かれる、『睡魔のいる夏』。子供時分、誰もが味わったことのある何とも言えない怖さが蘇る『長い座敷』。訳も分からず追われる恐怖で、読者も息せき切ってページをめくる『走る取的』。かな〜り、お得に凝縮された一冊でした。私のようなSFやファンタジーが苦手な人も、この本だったらイラストと共に(これ、結構大事)埋没できるでしょう。2012/02/16
猪子
11
SFジャンルは電波話が苦手なので、どうも得意ではなかったのですが、さすが筒井康隆!電波の中にもリアリティ有りで、とても楽しく読み切ることができました。SFなのかはわからないですが、挿絵もあいまって走る取的が本当に怖かったです…でも、バブリング創世記はやっぱり駄目でした。見事にゲシュタルト崩壊を起こして読むのが辛かったです。2015/05/29
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