世界傑作童話シリーズ トメック―さかさま川の水〈１〉

ムルルヴァ，ジャン＝クロード【作】〈Ｍｏｕｒｌｅｖａｔ，Ｊｅａｎ‐Ｃｌａｕｄｅ〉/堀内 紅子【訳】/平澤 朋子【画】

福音館書店（2007/05発売）

• サイズ A5判／ページ数 237p／高さ 20cm
• 商品コード 9784834022162
• NDC分類 K953
• Cコード C8097

内容説明

―生まれてこのかた、ただの三回も女の子のほうをふり向いたことのなかったトメックは、この、女性というにはあまりにかぼそい、小枝のような少女に恋をしたのです。あっというまに、完璧に、永遠に。森と海と香水とクレープと…。戦士も魔法使いもいない、かろやかで胸にしみるファンタジー。

著者等紹介

ムルルヴァ，ジャン＝クロード［ムルルヴァ，ジャンクロード］［Ｍｏｕｒｌｅｖａｔ，Ｊｅａｎ‐Ｃｌａｕｄｅ］
１９５２年、フランス・オーヴェルニュ地方の生まれ。中学校のドイツ語教師をつとめた後、パリの演劇学校に入学し、演劇の世界へ。ピエロのひとり芝居を自作自演し、世界各地をまわった経験を持つ。９０年代後半から作家として活動を始め、現在は執筆に専念。作品の多くは子どもたちの高い支持を得てフランス語圏で数々の賞を受けており、また学校や図書館での読み聞かせも熱心に展開している。現在、サンテチエンヌ在住

堀内紅子［ホリウチモミコ］
１９６５年、東京生まれ。７４年から８１年までを家族とともにパリ郊外のアントニー市ですごす。現在、東京都在住

平澤朋子［ヒラサワトモコ］
１９８２年、東京生まれ。２００５年に武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科を卒業、現在フリーのイラストレーターとして活動中。人物・植物・動物などのイラストレーションを描き、パラパラ漫画やストップモーションアニメなどに展開して、グループ展などで発表している。挿絵と装丁の仕事は『さかさま川の水』が初めて。現在、東京都在住（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[☆よいこ]

児童書。上質な正統派ファンタジー。なんでも屋を営んでいた少年トメックは少女と出会う。名前も聞けず、少女は行ってしまうが、トメックは旅に出ることを決意する。さかさま川が流れ着く山の頂上にあるという〈飲めば死ななくなる水〉を求めて冒険の旅が始まる。恐怖を克服し森を抜け、誘惑に負けず花畑を越え、海を渡る。〈どこにもない島〉で勇気を振るい、知恵を使い聖なる山を登る。▽剣も魔法もドラゴンも出てこないが、確実に王道。アルケミストっぽい。ワスレの森のクマが恐ろしかった。私の目覚めの言葉はなんだろう。

2018/11/05

[とよぽん]

世界傑作童話シリーズの本、さすが福音館書店。読友さんの感想から、是非読んでみようと思って一気に読んだ。児童書の王道！　すべてがこの物語にある。作者は勿論だが、これは訳者の力も大きいと思う。冒頭から読者を物語に引き込む。そして、装画も素晴らしい。大人が読んでも感動必至の名作だ。２作目の「ハンナ」もすぐ読みたい。

2018/11/24

[sui]

たった一度出会っただけの、名前も知らぬ女の子に恋して、彼女のために冒険の旅に出たトメック。いや、恋じゃなくて愛かな。ワスレの森、巨大なクマ、どこにもない島、黒い虹･･･。ただの恋だったらこんな恐怖とは闘えないよね。香水作り村は読んでいるだけで居心地がよく幸せな気持ちに！目覚めの言葉を探すというエピソードがとても好み。見も知らぬ人のために、たった一つの言葉を探すなんて･･･何て優しい人達だろう。色鮮やかなファンタジー。少女編のハンナも楽しみです！

2016/08/05

[riviere(りびえーる)]

冒頭から引きずり込まれて一気に読みました。冒険ありファンタジーありラブあり笑いあり生と死のテーマあり。一瞬だけど安部公房の「砂の女」的なところもあったし。なぞなぞ出すところは「オイディプス王」的？ほんと楽しかった。ことば選びもステキだし、挿絵もオシャレ。クマの挿絵にはびっくりしたし笑いました。もう一匹いたとはね、いやはや。さかさま川シリーズ1作目。続きもさっそく借りました。読友さん紹介本。児童書です。

2018/07/08

[北風]

誰かを思い、誰かを思いやる物語。とても優しい人の登場する優しい物語だけれど、恐怖もあれば、悲しみもある。喜びには悲しみが、恐怖には勇気が同じように距離を保って存在している。二つがそろって、一つの感動が生まれるのだ。でも、なぞなぞはわかんなかった。

2016/07/17