内容説明
身の丈が十五センチほどの小さな人たちの住むリリパット国に漂着したガリヴァーは、向かうところ敵なしの勇姿で大活躍をします。しかし、つぎの航海で流れ着いた巨人国では、大きなハチやネズミに襲われる無力な存在となります。緻密な百枚のペン画を添えた完訳本で、本物の「ガリヴァー」を味わってください。
目次
第1篇 リリパット(小人国)への航海
第2篇 ブロブディンナグ(大人国)への航海
著者等紹介
スウィフト,ジョナサン[スウィフト,ジョナサン][Swift,Jonathan]
1667年、アイルランドのダブリンに生まれた。両親のいない不幸な幼年時代を伯父のもとで過ごす。ダブリンの大学を卒業後イングランドに渡り、学問研究に励む。生涯の公職であった聖職者としての活動をしながら、政治、文学の世界で活躍する。1745年没
ブロック,C.E.[ブロック,C.E.][Brock,Charles Edmund]
1870年、ロンドンに生まれた。イラストレイター、水彩画家として活躍。ディケンズなどの小説に挿絵を描いた。1938年没
坂井晴彦[サカイハルヒコ]
1922年、東京に生まれた。1943年、東京商科大学卒業。元、青山学院女子短期大学教授。2002年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
でら
17
きいたことはある程度だったけど、とても面白い。ファンタジーすぎるかと言えばそうでもなく、17世紀ごろにはまだ、小人や大人が世界のどこかにいると噂されたりしたのかな。って思うと、ちょっとだけこの何もかも分かってしまっている現実世界に辟易してしまったりもする。 風刺物語と呼ばれたりもするらしいが、自分は世界史に疎いので、そこらへんに関してはあまり理解が及ばないが、小人や大人がそれぞれに持っている倫理観や価値観というものはとても面白く、そこに観点を置くだけでも興味深い作品だった。後編も読みます。2021/09/12
凛
6
リリパット(小人国)、ブロブディンナグ(大人国)への航海。これを読む前にイギリス史関連の本を読んでおけば良かったと後悔しましたが、主な比喩表現などは注釈で簡単に解説されていたので参考になりました。両国とも政治の描写が印象的でした。リリパットの教育制度と、ブロブディンナグ国王のイギリスに対する見解が興味深かったです。皮肉たっぷりの痛快な作風が面白く、さらに冒険譚としても楽しく読めました。2013/08/02
ほとり
3
ガリヴァー旅行記というと、小人や巨人の国を旅する子供向けの話と思っていたが、著者をとりまく当時のアイルランドとイギリスの格差や、社会慣習、考え方への強烈な風刺がこめられた奥深い作品だった。物語は全四篇かで、漂流の医師ガリヴァーが、小人の国、巨人の国、科学の国、精神性の国をめぐり、イギリスに帰るというもの。第一篇の小人のリリパット国と、第二編の巨人のブロブディンナグ国の話は、自分自身を対局の立場におくことで、マジョリティと違う存在は、力のあるなしに関わらず、権利を奪われ、差別的に扱われる悲しさを見せつけた。2012/12/27
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
2
表紙を見て、てっきりジュブナイルかと思ったが、ほぼ全訳らしい。挿絵のおかげで、巨人と小人の比率がわかって想像の助けになった。翻訳の読み比べをしているところだが、これはとても読みやすい訳だと思う。2022/04/26
桑畑みの吉
2
子供の頃読んだ『ガリヴァー旅行記』は寝そべった状態で小人にロープでぐるぐる巻きにされている挿絵のみが記憶に残っている。そう言えば巨人の話もあったかなぁ…そんな記憶レベルである。今回完訳版を読んでみると「小人国」の話は全体の4分の1、「巨人国」も4分の1位の分量になっていた。小人は15センチ位、巨人は20メートル位の設定でガリヴァーとの身長比率を巡るドタバタが面白い。またオリジナルである本書は当時の風俗、政治、法律、宗教への批判色の強い風刺小説の側面があるのが意外な発見であった。【下巻へ続く】2020/08/07