内容説明
1970年秋、YOKOがソフィアの留学生宿舎で出会ったのは、世界各国からやってきた若者たちだった。激動の時代に青春を過ごした仲間たちは、歴史の大きなうねりに巻き込まれていく……。
著者等紹介
八百板洋子[ヤオイタヨウコ]
1946年、福島県に生まれる。1970年、ソフィア大学大学院に留学。訳詩集『ふたつの情念(こころ)』で第13回日本翻訳文化賞特別賞・翻訳功労賞を受賞。また、『吸血鬼の花よめ―ブルガリアの昔話』で第33回日本翻訳文化賞を受賞した。『ソフィアの白いばら』では、日本エッセイスト・クラブ賞と産経児童出版文化賞を受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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帽子を編みます
15
ソフィア、ブルガリアの首都の名にひかれ借りました。こなれた文章ではなくて、心情をとつとつ書いているので読みづらくも思えますが、先を読みたくなりました。主人公は、平凡で取り柄がないように装っていますが、熱い激しい人です。そして思いこみが強いのかなという印象を受けました。両親、祖母への劣等感、同部屋のアセンカへの揺れる思い、グェンとの恋、時代の激しさともあってドラマチックです。あとがきで語られる登場人物たちのその後の人生のほろ苦さ。真面目なだけの留学生では経験できなかった日々経験を、著作に生かしてくれました。2020/07/03
cithara
10
著者が福島県の名士の娘で、1970年代に姉妹で海外留学していることを考えるとタダモノではないなと。当時のブルガリアの大統領や副大統領に個人的に会うというのは庶民の私には考えられない。彼女がソフィアの留学生宿舎で出会った学生たちもハイスペックな人たち。夢物語を読むように本書を読んだ。いちばん興味深かったのはYOKOの最初のルームメイトだったアセンカ。こんなに奔放で自由な女性は日本ではちょっと見当たらない。四人もパートナーを変えているだけでも驚いてしまうが、著者と同じような年齢ならばご健在であってほしい。2019/05/22
つぶあん派
7
1970年代にブルガリアに留学した著者の留学記。読み終わって自分の勉強不足が恥ずかしくなるのですが、様々な国の学生が集まる場所での文化衝突がリアルに描かれていた。留学すると体験することですが、自分はここまで色々覚えていないので著者の記憶力や語学力の凄さを感じた。 ブルガリアという国もよく知らない中で、日本人からみた70年代のブルガリアと諸外国の事情にショックをうけた。 アセンカさんが強烈だけど救い。ノンフィクション…。 素敵な言葉も多くて大好きな一冊になりました。2020/03/19
ひよこまる
3
ブルガリアが好きな人はこれで共産時代のブルガリアがわかりやすいかもしれません。
けめこ
3
なんだこれは。現実なのに異世界。主人公の育ちから、行く先々で出会うものまで、これすべて同じ地球上のこと??って感じ。ラノベじゃなくたって十分異世界トリップできてしまうんだこの地球は。すごい。こんな繊細なのによく留学したな、と思ったけど、だんだんそうでもないことがわかってきて面白い。いい意味で、他人に読ませることをあんまり考えてない文章。のびのび生き生きしてる。しかし、国、というのはどうしてこうも入り組んだ問題になってしまうのだろう。確かに日本国内だけにいると、こういう視点はなかなか持ちにくいよなぁ…。2017/05/08