出版社内容情報
ぐいぐいと草をかきわけて進むクマ。風のわたる草原で遊ぶ親子のクマ。アラスカを歩き、クマを見つめ、クマに見つめられてきた著者が、子どもたちのために遺した最後の写真絵本。
<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>小学中学年から
内容説明
アラスカの大自然のまっただ中に身を置き、悠久の時のかなたから響く声に耳をすまし、闇にひそむ動物たちの鼓動にわが身の鼓動を重ね、凛とした言葉と永遠の今を捉えた映像を残して、遠い世界へ旅立った星野道夫。その彼が、小さな人たちの魂にまでとどいてほしいと願った祈り…。小学中級から。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
450
星野道夫は終世クマを愛した。表紙の写真もその彼の愛に溢れている。母熊と子熊の視線の方向と表情は絶妙だ。アラスカの雪原や氷河の末端を行く熊たちを遠くから俯瞰した写真は抒情を湛えている。また近景を捉えた(超望遠?)熊たちは顔も身体全体も生きるものの喜びに満ちている。そんな星野がTVクルーと熊を撮影すべく赴いたカムチャッカで、熊に惨殺されて命を落としたのはなんとも皮肉な結末だった。その時、星野は恐怖しただろうか。したかも知れない。しかし、ある種の諦念と覚悟はあったのではないだろうか。星野道夫は終世クマを愛した。2021/09/20
KAZOO
135
クマの写真をたくさん撮られていた星野さんのクマに寄せる思いを1冊にした本です。表紙あるいは裏表紙にはクマの親子の写真があり本当にクマに殺された人が撮ったのかと思うほどです。文章やこのほかの写真も自然やクマへの愛情があふれています。見ているだけでむねが一杯になってきます。いい本だと思います。2018/01/09
アナーキー靴下
88
星野道夫さんは写真も素敵、とお気に入りの方から教えてもらい、調べて出てきた本の中ではこのクマの絵本に一番惹かれ、早速借りてきた。最後まで読み、この絵本が遺稿を元にしているということ、つまり亡くなった後に出版されたものなのだと知り、何とも言えない気持ちになる。残したものを形にしたのだから、星野さんの作品であることに間違いはないが、同時に、この本を作り上げた人たちが思う星野さん像を形にしてくれたものでもあるのかもしれない。「旅をする木」よりワイルドな口調に、自然と一体になった星野さんの眼差しを感じる絵本。2021/07/17
Aya Murakami
81
図書館本。 遠目に写っていますが、子熊を連れたクマが迫力満点(それでは表現しきれないものがありますが)。同じ時間を生きていながら星と星の間のような距離があるのも野生生物の魅力です。むやみやたらに餌付けなんてしてはいけませんね。距離以前の問題で個人的にはあまり遭遇したくない動物ではありますが。現在弟がクマ出没区域を自転車で走っています(クマよけに大音量で銀魂の曲を流しているらしい)2025/05/11
やま
79
山の上に雪の残るアラスカの雄大な情景のなかで、谷を越えて夏草がおいしげる丘を3頭の親子のクマが悠然と歩いています。子グマが、母の乳を吸い、子供どうしがたわむれて、母に寄り添って、何かに驚いたか、母が二本足で立ちこちらを見ています。子グマが、母の背中にのっかった姿が可愛く、そして母の安心した姿がなんともいえずホッとします。夏がきたミクフィック川では、遡上してくるサケをもとめて多くのクマが集まっています。それぞれの場所でサケを捕り、食いちぎり、かみ砕き、そして親が小さな子供に食べさせる姿が…🌿続く→2022/07/16
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