出版社内容情報
オオカミ族に滅ぼされたトナカイ族が、今よみがえって再建しようとする国とは?動物たちの戦う世界を描いた長編ファンタジー。
内容説明
銀のほのおの国めざして、荒野を駆けぬけるトナカイはやて―はやてを追って旅立つ、たかしとゆうこの行くては?子どもから子どもへ、四半世紀にわたって読み継がれてきたファンタジーの傑作が、作者の手で新しくよみがえる。人間は、生きるためになぜ他の生き物の生命を奪わねばならぬのか。根源的な問いを抱いて、少年と少女がたましいの国を探索する。そこでは、動物たちが人間と同様に話し、仲良くしたり、争ったりしていた。そこで二人が命をかけて「銀のほのおの国」の再生につくした体験は、彼らの人生を支える基礎となるだろう。日本人の手による、本格ファンタジーの古典としての重みを持つ作品である。小学校中級以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミーコ
56
棚から何気に取った1冊。帯を読んだのが決め手でした。思ってた以上の壮大なスケールのファンタジーです。弱肉強食の自然界、この世界で たかしとゆうこは逞しく 優しくなって行く・・・ つる坊ずが呆気なく殺されてしまった所では 涙ぐみました。小学校中級以上が対象になっていますが 大人にも何が大切なのか を教えてくれる1冊だと思います。巨人も茶袋も みんなみんな愛しく思えて来る。素敵な1冊でした。2016/05/16
mocha
52
壁に掛かったトナカイの首を解き放ってしまった兄妹は、トナカイに引きずられ異世界へと迷い込む。やがて来る残虐な青イヌとトナカイとの戦い。牙も爪もない二本足の子ども達が果たす役割は?喰うものと喰われるもの、生きること死ぬこと、そこには単純な正義感では裁けない自然の理がある。仲良くなった子うさぎや地ねずみやたくさんの動物たちが殺される。50年前の作品。かつての児童書は子ども向けだからといって過保護な書き方はしなかった。戦争に翻弄された世代からの贈り物を、今の子どもたちにも受け取ってほしいと思う。2022/09/04
アオイトリ
20
守り人シリーズの解説より)いつもの我が家から異世界に迷い込んだ兄妹。もの言う動物たちの世界はナルニアのように始まり、厳しい自然界の理が迫力をもって描かれます。ちょっとニヒルで達観してる茶袋(うさぎ)、いい味だしてる。面白かったです。2023/12/15
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
15
6年生ブックトーク授業 教科書掲載本からおすすめ本 5年生のたかしと2年生のゆうこの兄妹が留守番していて、壁のトナカイのはく製に(適当な)呪文を言っているうちに、不思議な世界に紛れ込んでしまった。そこは寒くトナカイ王と青イヌ(おおかみ)が闘う世界。たかしとゆうこも巻き込まれていく…。1972年発刊、ナルニア国物語が1966年発刊なので、要素的には似ていると思う。→2019/12/14
おゆ
15
異世界へ迷い込んだ兄妹と物言う動物の冒険についナルニアを重ねたが、実際その訳出と同時期に発表されたのが本書なのだ。児童文学の古典に触れるつもりで項を進め、けれど青イヌのひめ登場の辺りから目を離せなくなった。幼いころ我が家には鶏小屋があり、常には卵が、そして正月にはその肉が食卓に並んだ。捌く役目は主婦のもの、私はそれを義務のように感じながら背後から見ていた。私達は他に犠牲がなければ生きていけない、それを原罪と名付け救済する絶対者アスランは登場せず、トナカイ王はやては言う。勝者はやがて敗者を肥やす糧となると。2019/04/14