感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
57
絵本「はじめてのおつかい」などの作者、筒井頼子さんの子供の頃の思い出をもとに描かれた物語。昭和30年代。小学4年生のいく子は、生まれ育った雪国の小さな山里の村から東京近郊の町で暮らすことに。だが、村の生活とあまりに違う町の様子に戸惑うことばかり。級友に方言をからかわれ、母親も体調を崩してしまう。そして、父も大怪我を負ってしまい……。前作も良かったですが、こちらは女の子らしい繊細な物語。時には胸が痛くなるような展開も。様々な出来事の中、少しずつ大人になっていく様子が叙情的に描かれた良質な児童書でした。2023/07/20
ぶんこ
34
東北から東京近郊に越してきた一家。やっと長い出張続きで一緒に住めなかった父と住めて、幸せな様子が微笑ましい。いく子と3歳下のかつ子は小学校、兄は中学校へ通い、母はミシン内職。一緒に住み始めてまも無いのに、父がまたしても長い出張。留守に飼い犬が毎晩吠え、家の周りには怪しい足跡。眠れなくなった母が体調崩したりと心配でしたが、子どもたちはつよい。虐められても泣き寝入りはしない。それでも子どもだったいく子が、自分が大人の仲間入りになっていく不安が瑞々しく描かれていて、じんわりと沁みました。2023/08/29
アオイトリ
26
読メのレビューより)とても良いです。東北から東京の郊外へ引っ越してきた少女が中学生になるまでの成長譚。昭和の倹しい暮らしぶり、お母さんの心根の深さ、振る舞いが健やかで清々しい。いつも正しいばかりじゃない、いく子の心の様子をそのままに描き、自然なことと受容する感じが好きでした。意地悪やケンカの中から生きる力が育まれていった昔と今は何が違うんだろう。いまの「生きづらさ」ってどこから来るんだろう。あまりに頭でっかちで、モノや情報が溢れる都市の暮らしは、心の自然を麻痺させているのじゃないかしら、と感じました。2023/08/05