出版社内容情報
「みるな」と、あねさまからかたくいわれた12番目のくらの戸を、ついにあけてしまった若者は……。日本の四季が息をのむ美しさで描かれた昔話絵本です。
<読んであげるなら>4才から
<自分で読むなら>小学低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
237
おざわとしお・再話、赤羽末吉・絵。『うぐいすの里』等との類話。ここでも、お話の最も重要なポイントとなるのは「見るなの禁」。この禁忌が課され、それを破ってしまう物語や昔話は多い。よく知られたところでは、『浦島太郎』の玉手箱。海外なら『青髭』が名高いだろう。この禁忌は必ず破られるのであり、その結果は多くの場合、主人公に不幸をもたらす。本篇では、元に戻るだけであるから、不幸というわけではないが。また、もう1つの特徴は、12の部屋のそれぞれが、各月を表出していること。この原型は、王朝期の「四方四季の庭」だろう。⇒2025/11/17
KAZOO
109
昔読んだことがあるような気がしました。道に迷った若者が12の蔵のある家に泊まり、その蔵を開けていきます。1年の毎月の季節感ある絵で楽しませてくれます。「開けるな」といわれた12番目の蔵はなにもなく、すべて消え失せてしまいます。日本の季節感をうまく描いたものだと感じました。最後の「いきが ポーンと さけた」というのはどのような意味なのでしょうか?わかりませんでした。2018/01/08
yomineko@鬼畜ヴィタリにゃん🎄🎅🎄
58
昔話の第一人者:小澤俊夫先生作。道に迷った若者を新設にもてなしてくれた美女。1から12の蔵があるが、12番目の蔵だけは絶対に見てはいけないと言われたが、美女が外出している間に見たい気持ちを抑えきれず見てしまう若者。「見るな」と言われると見たくなる人間の心理!!!2024/04/14
とよぽん
42
赤羽末吉さんの絵が見たくて。うぐいすを助けたわけではないが、異界に踏み込み、お屋敷で大層なもてなしを受けた若者。タイトルが率直すぎて・・・でも、「くら」は何の象徴だろうか。若者は試されたのか。最後の文は、どういうこと? 私にはよくわからなかった。2025/12/11
藤月はな(灯れ松明の火)
38
慎ましく、生きる男が鶯の音によって迷い込んだ山奥で見つけた立派なお屋敷。そこで豪勢なもてなしを受けた男へ家人は屋敷の蔵を絶対に見ないように頼む。ところが「青髭」のように禁じられた事程、人は破りたくなるものなのだ。次々と蔵の戸を開けるとそこに広がっていたのは一つの月だった。その中で一番、ダイナミックなのは9月の野分で個人的にも好きだ。しかし、最後の一文が凄く、怖かった。その一文がなくても成立しそうなのになぜ、あの一文が入っていたのか。一年は男の人生の象徴でもあったのか、それとも禁を犯したからこそ、罰なのか。2025/12/06




