出版社内容情報
甦ったトナカイの首領、はやてを追って、たかしとゆうこの旅は始り、動物たちの国の壮絶な戦いに立ち会うことになる。(S-22)
<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>小学中学年から
内容説明
剥製のトナカイのガラスのひとみに炎がゆれて、たかしとゆうこの冒険がはじまった。人はなぜ、他の生きものの命を奪わなければ生きられないのだろう。重たい問いを抱きながらふたりは、いにしえのトナカイ王国復興をめざし、動物たちの国の壮絶な戦いにたちあう。日本で生まれた本格ファンタジーの傑作。小学校中級以上。
著者等紹介
神沢利子[カンザワトシコ]
1924年、福岡県にうまれ、北海道、樺太(サハリン)で幼少期をすごす。95年、それまでの作品、業績に対し、巌谷小波文芸賞、路傍の石文学賞、モービル児童文学賞を受賞する
堀内誠一[ホリウチセイイチ]
1932年、東京に生まれた。グラフィックデザイナー。カメラ雑誌やファッション雑誌の編集美術を手がけるかたわら、絵本・童話の世界でも活躍。その仕事は、写真家や編集者、絵本作家に多大な影響を与えた。1987年没
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おか
35
神沢利子さん 今年1月で100歳の童話作家です。と言っても 私も読むまで知らなかった。この物語は1972年に発行された。幼い兄と妹が トナカイと青イヌ(狼かな)の戦いに巻きこまれながら 強くなっていくのだが その中で親しくなったウサギや知っている仲間が死んでいく。童話の中では残虐に殺される場面があるのは珍しいが それは 生を支えるための死を教えている。生の中には死がある❕と。昔 母に言われた 『私たちは生き物の生命を戴いているのだから 残したり食べ散らかしたらいけません』という言葉を思い出した。2024/09/20
ぱせり
11
次々思いがけない事態が起こり、目を離すことができない。一方で、物語の情け容赦ないことに驚いている。「だれがきめたんだ。食べなきゃ生きられないってことを」「青イヌが食う肉とおまえさまが食う肉と、どこどうちがうか、わかるか」読了後も、重たい課題を背負わされたようで心は軽くならない。一度始まった物語は終わらない。考えることをやめることはできない。 2015/10/14
ねこ
6
すこし強引な展開だなと思うところがありましたが、補って余りあるほど物語世界は重層的で圧倒的。2018/12/16
頼ちゃん
5
堀内誠一展に行ったので再読。読み応えのある小説だと思うが、「女の子はこれだから」というようなたかしのことばや、家庭では女性が食事を作ったり客の世話をする人と位置付けされているのが、時代を感じさせるなと思った。2025/03/20
ぶたまん
4
トナカイ国復活のため、人間のたかしとゆうこも巻き込まれていく。 冒険と戦いのファンタジー。 かなり残酷なシーンもあるが生命を維持するためには他の動物の命をいただくことの尊さを学ぶのに子供たちにはよい本だと思う。 こんなにすばらしいファンタジーが40年も昔に日本でかかれていたなんて。 神沢としこさん、大好きです。 これからくまのこウーフを読みます。2014/09/26