出版社内容情報
平凡に暮らしていたネズミが、ある日、捕えられているハトが野にあこがれる様に強く心打たれ、渾身の力で、かごの戸を開けてやります……。美しい魂の輝きが伝わってくる珠玉の名編。
<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>小学中学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
57
図書館にて。日本的昭和的な題名を見てちょっと引いてしまったが、訳が石井桃子さんだったのでどんな話だろうと思い、読んでみた。なかなか象徴的な物語で、自由を失ったキジバトと、結構自由だが閉じられた空間に暮らすメスねずみとの会話や葛藤が面白い。かごの中のハトを憐れむメスねずみだが、自身もオスねずみや生まれたばかりの子どもたちの世話で忙殺されている。私は、このメスねずみが人間の家庭における母親と重なって見えてしかたがない。でも、最後は鳥かごの扉を全身の力でもって開けて、ハトを逃がすメスねずみ!2024/09/08
きょちょ
29
河合隼雄先生の「内なる異性」というテーマでのおすすめ絵本。「内なる異性」というより、自分にはない異世界全般をテーマにした絵本と感じた。もちろん素敵な話で、ねずみ女房の涙の描写が一番感情移入できる。しかし、鳥かごに入れられた鳩は、高村光太郎のダチョウの詩を思い出してしまった。「人間よ、もうやめろよこんなことは」という彼の詩は、一生涯私の頭から離れない。人間は動物を束縛している 私も猫を飼っているが、可愛がっているつもりだがそれは手前勝手な考え方で、やはり猫たちを束縛している。彼には頭が上がらない。★★★★ 2019/05/09
ヴェルナーの日記
29
一風、変わった家ネズミの奥さんの物語。普通の家ネズミは、自分たちの居住空間のことしか考えない。でも、このネズミの奥さんは、家ネズミとして生きながらも、広い外の空間にも興味を抱いていた。そんなある日、この家の主が、ハトを捕まえて鳥かごに入れて飼い始めた。2014/10/01
gtn
28
ねずみ女房は、自らと全く異なる生き物の存在に気がついた。そして現状不遇であることも。そこに慈悲が生まれる。ねずみは、彼を鳥かごから解き放した。そして、波の立たない日常を送る限り、決して手に入れることができない”慈悲”を手に入れた。2025/02/28
竹園和明
28
憎らしい奴だが身体を壊した夫ねずみや子供ねずみの為に、毎日せっせと働くねずみ女房。住み着いた家の窓から見る外は未知の世界。ある日傷ついた鳩が籠で飼われる事になる。知らない世界の話を聞く為に、毎日鳩に会いに行くねずみ女房。後に鳩はねずみ女房の頑張りで空いた窓から飛び立ち、日常に戻ったねずみ女房は最後は孫達に囲まれて暮らす。…憧れを抱く事は非ではなく、それも含めた毎日の連続性が貴重。鳩に抱いた恋心、いいじゃないですか。一時の快楽ではなく永遠の安楽にちゃんと戻ったんだから。 2017/05/21
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