出版社内容情報
いばらの生い茂る城の塔に眠り続ける美しい王女。グリム童話の中でもっとも有名な昔語を、スイスの画家ホフマンが、考え抜いた構図と繊細なタッチですばらしい絵本に仕上げました。
<読んであげるなら>4才から
<自分で読むなら>小学低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
317
芸術的香気に溢れながら、しっとりと情感のこもった絵。表紙の王さまの慈愛に満ちた表情とポーズが本書の内容を象徴するかのようだ。お話はグリム童話そのまま。絵はフェリクス・ホフマン。スイスのアーティストである。日本でもかねてより評価が高いが、それも当然か。ペン画に淡い彩色を施した技法。ただし、単純化されたマッスなタッチの絵ではないので、小さな子どもたちにはあまり受け入れられないかもしれない。小学校高学年以上向きかと思われる。2023/10/30
モリー
96
100 年後に目を覚ました「ねむりひめ」が王子と結ばれる場面がとてもよい。背景は黒い線だけで描かれ着色もされていない。娘の幸せな姿を見る両親の表情ですら抑制的に描かれている。満面の笑みを浮かべてよい場面ですらそうなのだ。表紙の王の姿は、娘を抱いてはいてもどこか憂いが漂う。眠りから覚め、幸せで満たされているはずの王の表情にも劇的な変化は見られない。ただ、ウエディングドレス姿の娘の後ろ姿を真っ直ぐ見つめる顔は少し持ち上げられている。娘を見守る視線の傾きの違いが、王の心の内を雄弁に語っているように感じた。2021/03/15
☆よいこ
83
絵本。誕生のお祝いに呼ばれなかった13番目のうらないおんなは呪いをかけた「ひめは15になったら、つむにさされて、たおれて、しぬぞ!」まだ贈り物をしていなかった12番目のうらないおんなが「ひめぎみは、しにません。ただ、100ねんのあいだぐっすりねむってしまわれるのです」と呪いを軽くしてくれた。15になった姫は塔の中でつむに刺され、眠ってしまった。城はいばらのいけがきに閉じ込められた。100年たち、ひとりの王子がいばらのいけがきの中に入る▽定番。ラストはあっさり。読み聞かせ11分。2022/07/05
seacalf
79
誰もが知っているグリム童話。ずいぶんシックで大人好みしそうな絵で、ディズニー化されていない眠り姫のお話を存分に楽しむことができる。絵本にかこつけて久しぶりにチャイコフスキーの『眠れる森の美女』を聴いたけど、やっぱり素敵。いつかバレエも観たい。2021/12/15
masa@レビューお休み中
77
《読み比べ》リアルな絵。淡々とした物語。絵がちがうだけで、こんなにも見え方がちがうとは思わなかったですね。どんな絵本でも大切にしている部分が同じであれば、メッセージって伝わるんだと思います。でも、これは大人が見ても怖いと感じてしまうからな。特に、茨に囲まれた城がおどろおどろしい雰囲気で、こんなお城に入ろうとした王子たちはすごいなと思ってしまいます。使われている言葉も微妙に違うものなんですね。読み比べするの案外面白いかもしれないです。2013/08/11