出版社内容情報
むかしむかしのこと、「大きな体にしてください」とウサギは神様に願ったのでしたが……。メキシコで絵を描きつづけた北川民次による、素朴で骨太な味わいの一級の昔話絵本。
<読んであげるなら>5・6才から
<自分で読むなら>小学低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
44
名古屋市美術館で開催された北川民治展にて大好きなこの絵本の原画を見つけた時は魂消た思い出があります。そういえば、この絵本はメキシコの民話を基にしているのだった・・・。身を守る為に強くしてくださいと神様に頼み事をした兎。ところが神様がその対価として強い虎、凶暴な鰐、賢い猿の皮を所望する。恐怖を堪えて策略で皮を用意するも・・・、神様、そりゃないよ。でも神様からしてみれば危険因子を見極めた上で排除したのかもしれない。とはいえ、失敗していたら神様は願い事を叶えていたのかも怪しい。2025/04/05
ちえ
43
読友さんのレビューで、懐かしい絵本に再会。北川民次の個性的な絵、独特な黄色。終わりの方で神様がいううさぎの絵が子供心に怖かったんだよなー。メキシコの昔話。2023/02/23
chiaki
39
メキシコ・アステカの民話。寝る前の読み聞かせ。大きな体がほしいと神様に訴えたうさぎに、神様はトラ(一番強い動物)とワニ(一番酷い動物)とさる(一番知恵ある動物)の革を持って来るように命じます。初めは怖さに足が震えていたうさぎでしたが、知恵を働かせ、結構残酷に獲物を仕留めてゆきます。最後、びっくり!神様それはあんまりだよ〰。でも、ここにうさぎの耳が長い理由が隠されていたんですね♪読み聞かせには少し長いけど、わが家の姉妹らも続きが気になったようで、面白く聞いてくれました。2021/02/16
竹園和明
37
大正時代にアメリカに渡りその後メキシコで絵を描き続けた北川民次が、帰国後に取り組んだ絵本の一作。1962年作。メキシコ時代から貧富の差や肌の色により差別される人々を題材にメッセージ性の高い絵を描き、帰国後は戦争や公害、学生運動の動乱等を取り上げた絵を描いていた人だけに、絵本とはいえメルヘンな作風では決してなく、自分の欲求のためにライオン・ワニ・猿を言葉巧みに騙しその皮を剥いで神様に献上する小狡い兎が描かれている。彼の眼差しの鋭さが的確に反映された絵本であり、子供というより大人向け。北川イズム此処に有り!2025/02/10
yumiha
33
これも『日本の絵本100年100人100冊』で紹介されたもの。未読だと思っていたけれど、なんだか記憶が残っている。『貝の子プチキュー』の結末は理不尽だけれど、本書は最初っから神様が理不尽。ラストの神様には「最初にその言葉をウサギにちゃんと言い聞かせておけば、犠牲になる命もなかったのに」と言いたいが、理屈では納得しないから経験させたのだと神様は言い返すのだろうか‥。さて本書は、メキシコの物語だそうだが、メキシコはトラの生息地ではないんだけど?2024/08/26