内容説明
自らのスタジオで1羽のニワトリを飼い、観察し、精巧な卵を次々と生み、美しい生体機械と化し、やがて醜悪に朽ちてゆくそのハナコの姿に向けて、時代の見えない不安や衝動をすくいとろうとするかのようにシャッターをきる。ハナコたちは、寿命や卵を生む数や体型や体重や毛色や卵の色さえもが完壁にコントロールされ、こうした生体技術は今や遺伝子を操作し、新しい生物を生み出すことさえできるのだ。そしてまさにこれらの見えない技術のネットワークが我々の周りを取り囲んでいる。ハナコはいわばそのような我々の世界の見えないシステムをあらわにする触媒のようなものなのだ。