内容説明
ソフィは若くして、父の意のままにギリシアの実業家ジェイソン・ステパノウと結婚したが、育ちのちがうふたりはお互いに理解することができず、彼女は冷たい夫のもとを去って故国カナダに帰っていた。「やっと戻ってくる気になったね」ジェイソンの声にはとげがあった。彼の顔がひきつっているのを見て、ソフィは疲れた神経を緊張させた。優しかった義父が病気だという電報を受けて、ソフィは二年ぶりにアテネに戻ってきたのだが、義父は重病ではなかった。ジェイソンのしかけたわなかと考えて、彼の気持ちを確かめようとしたソフィのまえに、彼の愛人だという女性があらわれた。