内容説明
社会学の大学講師、ブリオニー・ハモンドはオースティン空港のロビーでひとりの男性を待っていた。幼なじみのパトリックが五年ぶりで帰ってくる。パトリックは、故郷オースティンを離れ、ニューハンプシャーの大学で歴史学を教えていた。ふさふさした金髪の巻き毛、日に焼けた肌、頑固そうな四角いあご。そして、太陽の光を永遠に閉じこめたような不思議な光をたたえた緑の瞳。ブリオニーの幼いときからの憧れの人だ。彼が、今、こちらに近づいてくる。昂然と頭を上げ、軽やかな足取りで。パトリックは少しも変わっていない。だが、二人が交わしたキスは五年前とは違っていた。